表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第四章 行商仕入れ旅編
102/401

第十話 英雄ですか?

僕は朝起きて、思った。


「店で買う数に制限があるなら、毎日買いに行けばいいんじゃないか!」


僕達は、朝食を済ませ街に出た。


今回は馬車ではなくフットワークを軽くする為、シャルロッテに騎乗した。

《消臭》の魔法も掛けたので、牡馬を心配する必要もない。

シロンは、僕の股の間に騎乗して少し興奮していた。


「ヒヒーン!」


「シャルロッテは、ご主人に乗って貰って、嬉しいって言ってるニャ」


「そうか。たまには、騎乗してやったほうがいいのかな?」


「ヒヒーン!」


「毎回でもいいって、言ってるニャ」


「それはちょっと、期待に応えられないな」


「ヒヒーン!」


「残念って、言ってるニャ」


「ははっ」


僕は、笑う事しかできなかった。



昨夜、この街の事を《検索ツール》で調べてみた。


中央に城があり、その周りに貴族の屋敷が立ち並んでいた。

王都程ではないが、小さな貴族街ができていた。

貴族街と平民街は壁で仕切られていて、やはり一般の平民は入れないようになっている。


貴族街の周りには、比較的裕福な平民の住居があった。

そして、中心地から東西南北に大きな通りが伸び、その突き当たりには外壁の門があった。

それらの大きな通りには、多くの店が立ち並んでいた。


その中でも南側は大規模商業地区になっていて、商業ギルドはこの地区にある。


北側には、軍の施設が集中している。

《エステリア王国》の北に位置する、《ガーランド帝国》との有事を想定しての事だ。

そして、北の外壁から少し離れた場所には、軍人と傭兵専用のダンジョンも存在している。


西側の壁の外にも、ダンジョンの街があった。

そのダンジョンの素材を目当てに、西側には鍛冶屋や魔道具工房等が集中していた。


東側は住宅街になっていて、僕達が借りた家もこの地区にある。



最初にどこに行こうか迷ったが、今いる東地区の繁華街に向かった。


「何あの人、凄いイケメン」


「本当だ。馬に乗って、王子様みたい」


「お忍びの貴族の子弟かしら?」


「足の間に、猫を乗せてるわよ」


「私、猫と代わりたーい!」


困った事になった。

僕が騎乗すると、女性の視線が集まってしまう。


「目立つのは、嫌だな。でも、シロンとシャルロッテを見られてるし、今更変装しても遅いか」


僕は諦めて、そのまま行動する事にした。



僕はシロンとシャルロッテを待たせて、繁華街の店を歩いて回っている。


「凄いぞ! 牛乳やたまごだけじゃなく、肉も安い。これなら、エシャット村でもギリギリ売れる」


店を見て回ると、鶏肉・豚肉・牛肉が隣街の三割位の値段で売っていた。

当然僕は、限界まで買い漁った。

一通り買い終わると、今度は北地区へ向かった。



北地区は、軍人とその関連施設の多さが目立った。


だが、そんな事よりも、買い物の方が大事である。

この地区にも同じような店が立ち並び、ここでも買い漁った。



お昼が近くになり、少し早いけど昼食を取る事にした。


「二人には悪いけど、僕は食堂で地元の物を食べてくるよ」


「しょうがないニャ。待ってるニャ」


「ヒヒーン!」


僕は魔法袋からシャルロッテとシロンの食事を取り出し、先に食べさせた。

二人(二匹)が食べ終わってから、食堂に行く事にした。


「ご主人のご飯は、美味しいニャ。幸せニャ」


「ヒヒーン!」


「ハイハイ。ありがとね」



二人(二匹)がご飯を食べ終わり、僕は気になった定食屋に一人で入った。


店に入ると込んでいて、相席になった。

メニューを見ると全体的にリーズナブルで、僕は鳥のから揚げ定食を注文した。


『なんだか、《御食事処やまと》のメニューに似ている』なんて事を思っていた。


そして、相席したおじさんに話し掛けた。


「この辺りは、軍人が多いですね」


「ああ、そうだな。兄ちゃん、他所から来たのかい」


「ええ、そうなんです。ずっと南の領から、行商で初めて来ました」


「そうか。なら、分かんねえよな。軍人が多いのは、ガーランド帝国がこの国を狙ってるからだ。向こうは内陸で、砂漠になった土地も多いと聞く。万年、食料不足なんじゃないか」


「食料不足ですか」


「この辺りは、食物が豊富だからな。羨ましいだろうさ」


「へー」


「八年前にも、帝国の侵攻があってな。その時は一人の英雄のお陰で、大きな戦になる前に帝国が引いたんだ」


「英雄ですか」


「ああ。物語になって、劇場でも上演されてるぞ」


「見てみたいですね」


そんな話しをしていたら、から揚げ定食が運ばれてきた。

米のご飯と野菜スープが付いている。


「うん。美味しそうだ」


人の目もあり、今回は一味唐辛子を控えた。


僕は、そのままから揚げを食した。

『鶏肉が新鮮なんだろうか?』そんな感想が出るほど、ぷりっぷりで美味しかった。


食事を終えお金を払って店を出ると、シロンとシャルロッテは大人しく待っていた。

そんな二人(二匹)に、『待たせたな』と言って撫でてやった。


「気持ちいいニャ」


「ヒヒーン!」


二人(二匹)共、気持ち良さそうにしていた。



その後西地区に行き、同じように買い物を済ませた。


魔道具の販売店を覗いてみたら、商品の取り揃えが良く、値段も王都より二割五分程安いような気がした。

だが、自分で作れるし持っているので、買う事はなかった。



最後に南地区へ行くと、ある看板の絵に目が留まった。


「あれっ、これってアレンさんに似てるな」


僕は、他人の空似かと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ