ホワイトデーとイチゴ2
「ところで……」
イチゴの声かけにアメとカエルは同時に首を傾げた。
「イチゴ狩りが新型ウィルスによって中止になっているそうだね」
「突然なんだ……」
アメはイチゴの発言がわからず、呆れた目を向けた。
「あれ? 知らないのかい? 新型のウィルスが人間達を襲っているそうだよ。だから、イベントもやらないんだとさ」
「なんだそれ! 怖い!」
イチゴの言葉にカエルは過剰に怯えた。彼女の頭の中では変な化け物が人間を食っているのだろうか。
「ああ、お年寄りにかかると、かなり危険なウィルスらしいよ」
「お年寄りか……。最年長の雨神がまずいな……」
アメは先程とは変わって眉を寄せ始める。
「神にもうつる可能性はあるのかね?」
「頭から食われたりするの!?」
カエルはさらに怯えた。
「頭から食われるのか?」
アメまで顔を曇らせる。
「え? 嘘……頭から食われんのかい?」
なぜか発言者のイチゴまで怯え始めた。イチゴは風の噂で聞いただけなのでウィルスがなんだかわかっていなかった。
「と、とにかくだね、熱に弱いらしいのさ。後は、人間達は自衛のためにアルコールとかマスクとか買ってるようだよ」
「頭から食われんのに?」
カエルの不安げな顔にイチゴも顔を青くする。
「お、おいしくなくなるんじゃないかい?と、とりあえず、お酒ってアルコールだったはずだからお酒飲んで自分をまずくしとくかい?」
イチゴは震える声を出しながら、棚をまさぐりお酒を取り出してきた。
「……あ、それは……長老のお酒……」
アメが控えめにつぶやく。
「長老がお酒好きなのって、このためだったのかねぇ……」
「さあ?」
イチゴの言葉にアメとカエルは同時に首を傾げた。
「あーあー、あたしはイチゴが食べたいよ……。春と言えばイチゴだろう?」
イチゴはお酒の入ったツボをため息混じりに見据えた。
「ああ、そういえば、イチゴ。ウィルスとやらは熱に弱いとか言っていたな。イチゴをジャムにしたらどうだ? それを温かいまま食べるのだ」
なんだか外れた意見を真面目に話すアメ。
そう、ここにいる皆はウィルスが何なのかを知らない。
「ああ! それはいいじゃないか! 好きなイチゴを沢山食べられて、さらにウィルスとやらを撃退できるじゃないか! アメ、よく考えたねぇ」
イチゴは外れた意見を丸々鵜呑みにしていた。
「ウィルスって結局なに?」
「ウィルスは……よくわからないが、害だよ。それでいいじゃないか」
カエルの発言にイチゴは意気揚々と答える。
「まあ、いっか!」
カエルもなぜか納得。
お茶を飲み終えたイチゴとカエルはお酒を置きっぱなしのまま、野イチゴ狩りへ出かけたのだった。
「……なんというか、仲良くなったのか? 女の子はわからん。とりあえず、自分をまずくしておくか」
アメはひとり頭を抱えつつ、ツボに入ったお酒を自衛のために一口だけ飲んでおいた。
本当は意味がないのだが、そんな事を彼らが知るよしもない。
……しかし……カエルは外部から来ているのではないのか?
なぜ、ここから出たことのないイチゴのが外に詳しいのだ。
カエルは何しにここに来たのだろう?