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冬眠近づく11月1

 だいぶん寒くなってきた。

 時期は十一月の終わり。


 カエル以外の神々は冬眠の準備を始めていた。カエルは冬眠しないので、現在は暇である。

 しかたなくカエルはアメのおうちで冬ごもりの準備を眺めていた。


 「もう、皆寝ちゃうの?」

 「もう少ししたらな」

 「そっかあ……」

 木の中にあるおうちの掃除をしながら、アメは寂しそうな顔をしているカエルを横目で見た。


 「まあ、もう少し、起きているが」

 「やった!」

 アメの言葉でカエルはにんまりと笑った。アメはカエルに元気が戻ったので冬ごもりの準備を進める。今やっているのは掃除だ。

 後は机や家具にホコリよけの布を被せる。


 アメがせっせと片付けなどをしていると、長老が慌てた様子で家に入ってきた。


 「!? ちょ、長老?」

 あまりに突然にドアが開いたので、カエルとアメは肩を跳ねあげて驚いた。


 「大変じゃあ!!」

 長老はカエルとアメの服を掴むと青ざめながら外へと連れ出した。


 「ち、長老! なんだ!?」

 「えー? なになに? 怖い!」

 アメとカエルは混乱しながら、とりあえず叫んだ。


 雪がちらつく外に出ると、イチゴやキオビもいた。


 「あれ? お前達……」

 「あー、大変じゃあ! って呼び出されたのさ」

 「ケケー」

 イチゴとキオビも呼び出されたようだが、理由はわからないようだ。

 長老はカエルとアメをイチゴ達の横に並ばせると、必死な顔で叫んだ。


 「コバルトがいないのじゃ!」

 「え……?」

 アメ達は一瞬固まった。


 「だからの、コバルトがおらん! もう冬になるというのに、家にずっとおらんのじゃ」

 「冬の準備をしてんじゃないの?」

 イチゴが眉を寄せつつ、空を仰いだ。雪が少しだけちらついている。これくらいでは雪は積もらない。


 「十一月中、一度も見ておらん。お前達、誰か彼女を見たか?」

 アメ達はお互い確認し合うように見合うが誰も見ていないようだった。


 「そういえば、会ってはないな。ケケー」

 キオビが代表で答えた。


 「……まさか、蛇に……。『龍神』に……」

 長老がつぶやいた一言にカエルの眉が跳ねた。

 「龍神? 蛙は蛇に食べられる話はよく聞くけど、蛙神が龍神に食べられる話は聞かないよ?」

 「……ああ、いやなんでも……」

 長老はごまかしたが、カエルは聞き逃さなかった。


 「雨神の力が龍神に食われてるってこと? 長老、知っていたの? それでコバルトが消えたかもって焦ってる?」

 カエルは長老に矢継ぎ早に質問する。長老は冷や汗をかきながら口を閉ざした。



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