ハロウィンとオバケ1
寒くなってきた。葉は色づき、ひらひらと落ちていく。たまに冷たい風が吹くが、日中はまだあたたかい。
「もしかすると、あたし、お化けの神とかかも!」
アメの隣で声をあげたのはカエルだった。現在はお昼時。落ち葉を払った岩の上にふたりは座っている。いつもの川の側の岩だ。
「……なんだ? お化けの神?」
アメは突然叫んだカエルに驚きつつも、なんとか言葉を返す。
現在カエルは自分の神力がなんなのか、探している最中だ。
「ハロウィンだよ!」
「ん? なんだそれは」
アメはなんだかわからず、首をかしげた。
「ああ、えーとね、おばけだぞーって感じ! で、おかしもらう」
実際にカエルもよくわかってはいなそうだ。
「すまん。全くわからんのだが、饅頭をあげる感じでいいのだろうか?」
ハロウィンを全く知らないアメはカエルが発した「おかし」という単語に反応したようだ。
「饅頭? まあ、まんじゅう大好きだけど、『とりっぽいか、とーなめんとか』にはなんか違う!」
本当は「トリックオアトリート」なのだが、カエルの中では「鳥っぽいかトーナメントか」になっているらしい。
「鳥っぽい……どういうことだ」
「わからないけど、これ言うとおかしくれる」
カエルは自慢げに頷いた。
「お化けの神とは?」
「ハロウィンはお化けとかカボチャとか魔女とかの格好をして家をまわってお菓子をもらう日なんだ。だから、私、もしかすると、お化けの神なんじゃないかなって思って」
「……よくわからんが、お化けとやらになってみるか?」
アメの言葉にカエルは顔を輝かせると、「うん!」と何度も頷いた。




