秋雨2
「なんだって? あたしに神力が?」
カエルはおにぎりを飲み込んでから、慌てて尋ねた。
「うん……」
コバルトは小さく頷き、アメにも目配せをした。
「ああ、カエルは神なのではないか?」
アメも困惑しながらカエルを見る。
「じゃ、じゃあ待って! 私、なんの神?」
「……なんの神? なんだろう?」
カエルの問いにアメとコバルトは首をかしげた。
「じゃあ、わかった! なんの神にみえる?」
カエルは頭を抱えながら、違う質問をした。
「うーん。カエルの神とか……」
「!?」
コバルトの発言にカエルは固まった。
「なにそれ?」
「いや、わからないよ……。なんの神かって聞くから……答えたんだけど」
コバルトは困った顔のまま、アメをみる。
「うむ……なんの神なのか、この後半期で調べてみるか?」
アメの言葉にカエルは大きく頷いた。
「いいかも!」
「では、まずどこから調べるか……」
アメが考えていると、コバルトが口を挟んできた。
「特殊能力あったりとか……するかも」
「特殊能力か。カエル、何かやってみてくれ」
アメの無茶ぶりにカエルは眉を寄せた。
「何かって……なに?」
「高跳びの神とかかもしれぬ。運動の秋だしな。飛んでみろ」
アメに頷いたカエルはジャンプしてみた。普通より高くは飛べるが、神かどうかはわからなかった。
「もしかしたら……泳ぎの神かも。泳いでみたら……?」
コバルトは目の前の川を指差してつぶやくように言った。カエルは頷くとそのまま飛び込み、しこたま泳いでみた。
しかし、神かどうかはわからなかった。
「カエルって平泳ぎ速いんだね……」
「速いだけだったね!」
コバルトに笑いかけるカエル。
だんだんと楽しくなってきた。
「じゃあ、次は……かけっこ!」
コバルトとカエルは無駄に走り始めた。
「……おいおい……。なにしている……。運動の秋なのか?」
結局、この日はなんの神かはわからず、運動会となった。
夕方になり、再び雲行きが怪しくなっていた。沈む夕日にアキアカネが飛んでいく。
「……これは長老の……まだ早くないのか?」
次第にゴロゴロと雷が鳴り始める。アメは慌ててカエルとコバルトに叫んだ。
「おい! 秋雨がくるぞ」
きっと、今夜からしばらくは雨かもしれない。
これからカエルはなんの神なのか探すことになる。




