ひやむぎVSそうめん2
と、いうことで、カエルが決めたディベート大会が始まった。
木で作った椅子を木の机のまわりに並べ、雰囲気が出るように葉っぱで書類も作った。
「よし! 完璧」
「では、でぃべぃとを始めるかの? おい、どうするのじゃ?」
長老がアメ達を一通り見回してから、カエルにそっとささやいた。
「ひやむぎ派、そうめん派にわかれて椅子に座る! それから良いところと悪いところの意見を出しあって、最終的な結論を出す!」
「ほぅ、なるほど。皆、わかったかの? それぞれ意見を出し合うのじゃ!」
身振り手振りで説明するカエルに、深く頷いた長老はひやむぎ派から意見を聞いていくことにした。
「ふむ。では、俺から。ひやむぎは太い。喉ごしがより楽しめ、お腹がいっぱいになる」
アメが一番早く意見を出した。
「え、えっと……私はアメが好き……だから」
次にコバルトが控えめに意見を言う。
「はは、アメが好きだからって、理由にならないと思うさねぇ……」
イチゴは腕を組んで楽しそうに笑う。
「私も発言するのじゃ。ひやむぎは太い故に薬味が良く絡み、汁も多めに口に含めるぞい」
長老は自信満々に答えた。
「では、次、あたしらの番! そうめんは細いから、喉ごしがいいさね! ひやむぎよりかは、するんと口に入るんだい! それに、盛り付けが天の川みたいできれいだよ。細いから川みたいに盛り付けら れる」
イチゴが腰に手を当ててふんぞり返った。
「ちょっと上品に見えるよね!」
カエルもイチゴに笑いかける。
「細いから汁がよく絡む! ケケケー!」
キオビも楽しそうに手を叩いていた。
「待ってくれ! 今、皆の意見を聞いて思ったのだが……」
キオビが答えた後、アメが慌てて手を上げた。
「なあに?」
「けっこう意見がかぶってないか?」
アメの言葉に一同は首を傾げた。
「汁がよく絡む、喉ごしがいい、両方ともの意見だ」
「あー」
アメの言葉に今度は頷く一同。
「じゃあ、どうするのさ? 似たような意見ばっかり集まるじゃないかい」
イチゴは呆れた顔でカエルを仰いだ。
「検証してみるのは、いかがだろーか!!」
「検証って、実際にやる? ケケー!」
カエルが満面の笑みで一同を見回し、キオビが楽しそうに答えた。
「ほー、検証か! おもしろい」
アメも頷き、皆、試したい欲求にかられはじめた。
「よーし! では、そうめん、ひやむぎ半々に……って、やや!?」
長老が何かに気がつき、止まる。
「長老……、どうしたの……?」
なりゆきを見ていたコバルトが控えめに尋ねた。
「いや、なんか……まあ、よい! そうしよう!」
長老が結論を出し、この戦いはあっけなく幕を閉じた。
※※
しばらくして……
「あー、ひやむぎもいい!」
「そうめんにも喉ごしがあるだと!」
「ケケー!」
「うんまっ! 正直どっちでもいいや」
「……アメがそうめん、食べてる……。私も、そうめん好き……。アメも……好き」
竹にそうめんと冷水を入れ、木のお椀で出汁をすする一同。
「検証は正しかったのぅ」
長老は一言つぶやき、満足そうに頷く。
少しして落ち着いてきた頃、皆は気がついた。
「これって、そうめんとひやむぎのハーフアンドハーフじゃん!!」




