ジメジメなキノコ狩り1
ジメジメした梅雨に入った。
アジサイが美しく咲いている。葉っぱの上ではカタツムリとナメクジが競争していた。
静かな雨音が、かえる達を元気にさせる。
しかし、カエルから雨神になったアメは、喜んで跳び跳ねるわけでもなく、青い顔で、木の中にあるおうちを走り回っていた。
「なんということだ!! うちにキノコが生えるなんて!!」
一、二本ならかわいいものだったが、数十本以上束になって、元気に生えてきた。しかも、だんだん大きくなっていく。
「なんのキノコだか知らぬが、迷惑ぞ!!」
現在、アメはキノコがどこに生えたか確認作業中である。
「ああー! 布団にも生えてる! 台所にもー!! にょきにょきしおってー! 女の子が遊びに来たら、ドン引きされてしまう!! いますぐ、収穫……あ、いや、除去しなければ」
アメがキノコに向かおうとした刹那、扉が思い切り開き、金色の髪の少女雨神、カエルが遊びに来た。
「こんちはー!」
「ぎゃー!!」
アメがキノコを隠そうとするが、隠せるわけもなく、カエルに見られてしまった。
「うー……わぁ……。いつからリフォームしたの? 部屋のテーマは……キノコの王国とか? あ、それとも栽培中?」
「は、はは……」
カエルの言葉にアメは苦笑いをした。
「ああ、そうか! キノコ狩りだ! ちょっと時期が違うけど、最近、秋みたいな涼しさだったから、キノコ狩りで儲けようとしてるんでしょ!」
「え……」
カエルは嬉々とした顔でアメを見た。
「あー……あ、ああ! その通りだ。室内の遊びを考えていてな……。皆で遊べるかなって家を改造したんだ」
「やっぱり! 今日はね、さっきそこら辺で出会った、コバルトヤドクカエルのコバルトちゃんと一緒に来たんだよ」
カエルはアメを全く疑わず、嬉しそうに一人の女の子を部屋に入れた。
「こ、コバルトか」
アメの視界に青い女の子が映った。青いおしゃれなかえる型の帽子を被り、かえるがデザインされたワンピースを着ている。
「ど、どうも……」
コバルトと呼ばれた少女は、恐る恐るアメの部屋を覗いた。
「コバルトは……遊びに来たのか?」
「こないだ借りた、ジャムに使わせてもらったビンを返しに来たの……。ついでにお茶を飲ませてもらおうかなって……」
コバルトはもじもじしている。
「な、なるほど……いいのだが、台所にキノコが生えてて……そのー……」
アメが言葉を探していると、カエルが元気よく、言葉を続けた。
「キノコ狩りして、食べられるキノコでキノコ料理やろ!!」
「なっ……」
アメの顔色は悪かったが、カエルは満面の笑みを浮かべ、アメの部屋へと上がり込んで行った。




