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てんせいのかみさま  作者: 士口 十介
7/7

使い方を知らなければ意味はない

結局、内燃機関は完成を見ずに終わるのですか。

少しがっかりですね。


「そんなことは無いぞ。

この後、ヴィンフリートは魔法力を考慮した内燃機関を作り上げるんだ。」


作り上げた?

なぜそこまで話を進めないのですか!!


「まぁ、話すと長くなるから、その辺りはカットね。

決してメンドクサイわけじゃないよ。」


はぁ~。

そうですか。

でもこうしていくつか話を聞いてみると、

転生特典にスキルを取るのは考えてしまいますね。

そもそもスキルって何ですかね・・・。


「なるほど。

それではスキルにまつわる話を。

同じスキルを取り、同じ世界、同じ時代、に転生してしまった二人の話をしよう。


転生者のアルベルトとフォイルは騎士の家系に生まれる。

どちらも転生特典に剣術を選択し、上昇限界までスキルを取った。


その二人は王都で行われた御前試合で出会った。」


―――――――――――――――――――――


王都の御前試合は王都にある闘技場コロセオで行われる。

その試合は予選から全て、

市民に公開され娯楽の一つになるほどであった。


その御前試合、

今年は例年にないほどの盛り上がり方を見せていた。


若い騎士が二人、予選を圧倒的な強さで勝ち上がってきた為である。


アルベルトとフォイル


アルベルトは東の有力者であるデュラント伯爵に仕え、

フォイルは西の有力者であるディール伯爵に仕えた。


二人ともその剣技の腕で頭角を現し、伯爵直属の騎士団を任されるほどになっていた。


ただ、剣術に対する取り組みは正反対である。


アルベルトは日が早朝から日が落ちるまで稽古に励む。

対してフォイルは全く稽古をしたことが無かった。

フォイルの考えは


“剣術のスキルを限界値まで習得した。

スキルが限界値である以上、それ以上上ることは無い。

稽古をするだけ無駄である。“



アルベルトとフォイル、

どちらも同じ年齢で、肉体的にその差はない。

剣術の腕前も同じ。


王都の市民どちらが勝ってもおかしくない。

と考えられていた。


だが、蓋を開けてみると、

アルベルトの圧勝で終わった。


―――――――――――――――――――――


ちょっと待ってくださいよ。

同じスキルなら実力に差は出ないのでは?


「同じ剣術スキルと言うのは間違いないけど、

同じスキル値と言うのは同意できないなァ」


え?

じゃあ、アルベルトの方が限界以上にスキル値を取っていたのですか?


「いや、転生時点ではどちらも同じ剣術スキルで同じスキル値だったよ。

違ってきたのはその後の取り組み方によるものだ。」


朝から晩まで稽古したとかのあれですか?


「そうだ。

フォイルはスキルが限界値だから無駄だと思ってやらなかったが、

実は無駄ではないのだ。

前にも話したが、身体が覚えていると言うのは脳の記憶であると話したよね?」


ええ、変化しない脳に記憶できないと言う話でしたね。


「うむ。

で、特典で剣術スキルを与えられると言うのは、

脳の長期記憶に“剣術”の記憶を刷り込む事でもあるんだ。」


じゃあ、特典で“体が覚えている状態“にしているってこと?


「その通りだよ。

だけど、“身体が覚える状態”と言うのはその骨子だけしか覚えていないともいったよね。

長期記憶は短期記憶と合わさることで様々な対応が出来ると。」


あ!

という事は、引き出し方が少ししか知らない場合・・・。


「そうさ、正にフォイルは引き出しを少ししか知らない状態だったんだ。

これまでそれだけで済んだからね。

でも、彼の前に稽古を積んだ同じ存在が現れる。」


アルベルトは稽古を積んでいる分、様々な引出し方を行う為、

フォイルを圧倒できると言うわけですか・・・。


「どんなに高い値のスキルを持っていても、

使い方を学ばなければいけないという事だ。


”剣術を知らなかった者が使い方を学ばないとこうなる”


と言う例だね。」

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