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てんせいのかみさま  作者: 士口 十介
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世界の法則 前編

「さて、次は何を話そうか?何がいい?」

自称神様は気軽に話しかけてきた。


”何がいい?”と聞かれても、

そもそも特典能力が多すぎてさっぱり分らない。

それに、何の能力でも状況により選ぶ能力は変わるだろう。


「ああ、そうか。

状況によって選ぶものが変わるか・・・。

よし、それなら法則に関する話をしようか。」


法則に関する話?

自称“神様”が言う法則とは何を指すのだろうか?


「法則と言うのは、君の世界で言う物理法則の話だよ。

その男、“カルーノ・オットー”と言うのだが、

彼が受け取った特典は“現実化”のスキル、

頭に描いたものを現実に出現させる能力だ。」


現実化?

想像した物を出現させるあの能力?


「そう、それさ。

スキル使用にはいくつか条件があるけど、

彼“カルーノ”は問題なく使いこなしていた・・・」



―――――――――――――――――――――


俺の名前は“カルーノ・オットー”、転生者だ。

この世界に転生する前はエンジニア、

内燃機関の開発を主にやっていた。


比較的裕福な子爵家の次男として生まれおかげで

教育を受けることが出来た。

俺は魔法の能力は低かったが、

前世のおかげで十分な学問の知識がある。

特に数学は8歳にして微分積分の概念を理解していた。

この辺りは前世でも仕事で使っていた事なので忘れてはいない。


両親や周りの者はそんな俺を見て、

“将来兄を支えて領内を切り盛りする”ことを期待されていた。


だがそんな俺に劇的な変化が訪れた。


この国では10歳になるとスキル鑑定行う。

スキル鑑定は年に一度、お祭りの様な行事として人々に親しまれていた。

俺達一家は俺のスキル鑑定の為に王都に来ていた。


今年は特に変わったことも無く、

例年通り平穏無事に終わるような流れだった。

だが、俺のスキルが判明したことで

かつてない騒ぎに包まれた。


判明したスキルは”現実化”。


それは頭に描いたものを現実化させるスキルだ。

現実化するには、現実化する物を知っている必要がある。


だが、現実化するものが目の前、手に取って観察できると話は変わる。

出来ない物もあるが、大抵の物と同じ物を作り出すことコピーができたのだ。


このスキルは直ちに王宮に報告され、俺は王国で保護されることになった。

俺の家はこの事で伯爵に陞爵。

俺自身も子爵の地位を与えられた上、王都の魔法学校に通う事となった。


それからはスキルを伸ばす訓練と知識を蓄える日々。

訓練はきつい物だったが、スキルが上達にする度に現実化できる物が増える。

目に見える成果は俺に充実感を与えていた。


そんな俺が魔法学校の卒業試験に選んだのは

内燃機関の一つ、発電機をスキルで作り上げる事だった。


図面を引き、スキルで部品を現実化する。

手間のかかる作業であったが、一つの考えが俺を頑張らせた。


発電機が出来上がればそれを利用した道具も現実化する。

俺のスキルがあれば転生前の世界に近い物が、この国に再現できると思っていた。


そうして完成させた発電機は、市民が暮らす家一軒分の大きさがあった。

だが、その大きさで初めて王都中に電気を供給できる。

光り輝く王都。

数々のイルミネーション。

転生前の懐かしい記憶だ。

俺はそれをこの王都に再現する。

現実化の能力によってそれが出来るはずだ。


俺は万感の思いを込めで、発電機のスイッチを入れた。


次の瞬間、世界は巨大な白い光に包まれた。



気が付くと、

見知らぬ湖の真ん中に立つ亡霊となっていた。

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