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てんせいのかみさま  作者: 士口 十介
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経験は時間である

「これで転生時の記憶が戻るのは五歳以降になる理由を納得してもらえたと思う。」


了解、理解した。

赤ん坊時に記憶が戻ると良くない結果が多かったと言うわけだね。


「そうだ。

稀に上手く行く場合もあるらしいが、

私は出会ったことが無い。」


そう言い終わると自称“神様”は一冊の本を差し出した。


「これは技能書と言って、

特典能力が載っている書物だよ。

ただ、詳しい解説はページの都合上載せてはいないけどね。」


どれどれ、どんな特典があるのか見てみよう。


私は差し出された技能書を受け取り、ページをめくった。


技能書と言う通り、様々な能力がびっしりと書かれている。

簡単な解説は乗っているだけましなのだろうが・・・


お、この能力は・・・


「寿命停止、歳を取らない能力か・・・.」


それとこの能力を組み合わせたら・・・


「加速空間、時間が早く進む空間?

この二つを組み合わせてどうするんだい?」


例えば、武術や魔法の訓練が短時間で出来るのではないかと?


「うーん。

面白い考え方だけど、それは無理だね。」


無理ですか・・・


「まず、歳をとらない能力、寿命停止だと技能は覚えない。」


え?

でも長時間かけて訓練するのですよ?


「まず、技能を習得するという事を考えてみようか。

簡単に言うと技能を習得すると言いうのは、

その作業を脳が長期記憶するという事なんだ。」


脳が記憶?

体で覚えるのではなくて?


「運動でも何でも、体が覚えるのではなくが覚える物だよ。

それが長期記憶。

で、その長期記憶の作業で必要なのが縮小と成長だ。」


縮小と成長?


「長期記憶と言うのは、短期記憶と違って忘れにくい記憶であるけど

概要しか覚えていない。

長期記憶は短期記憶と合わさる事で、様々な対応が出来る様になっているんだ。


短期記憶を繰り返すことで長期記憶に変化するのだけど、

長期記憶、

概要にする為には余分な部分を削除し、記憶の骨子を強化する必要がある。

それは脳細胞ニューロンの縮小や成長によって行われるんだ。

だから縮小と成長が必要になる。


そうやってできた概要を長期記憶することで

“体が覚えている”と言う状況を作り出す。」


ふむふむ、何か聞いたことがあるな。

じゃあ、技能を覚えないと言うのは?


「歳を取らないと言うのは、細胞が変化しないという事。

変化しない細胞は縮小や成長することは無い。

縮小や成長しないのだから、長期記憶されない。

従って“体が覚える”ことは無い。

つまり、技能は覚えない。」


だから時間をかけても歳を取らないと技能は習得できないという事なのか。

じゃあ、歳をとるけど若返って結果、歳をとらない場合は?

それこそ何年も何十年も何百年も訓練で上達できるのでは?


「細胞が若返るという事は細胞が壊れないという事だよ。

壊れてしまったら若返ることは出来ないからね。


剣術技能を例に挙げると、ある程度の筋力は必要だ。

だけど壊れない細胞では筋力が増えることは無い。

筋肉は細胞を破壊する事で増やす物だからね。

この場合もやはり技能は習得できない。


でも何故そんな長期にわたる訓練が必要になるんだ?」


剣術や魔術全般や回復呪文が使える賢者に成れないかな?

と思って・・・


「賢者?

君は賢者になりたいのか?」


剣も魔法を極めていると便利でしょ、回復も使えるし。


「うーん。

どうやら君は賢者を勘違いしているみたいだね。

剣と魔法が使えるのは魔法戦士系列だし、

回復呪文は魔術の一系統だよ。

それに賢者は職業じゃない、称号だ。」


ええ!

そうだったんですか?

じゃ、賢者っていったい???


「賢者とは何かを習得したらなれる職業ではない。

人々が賢い人に付ける称号だよ。


そうだな、賢者と呼ばれたいなら必要なのは

幅広い知識と深い洞察力、当然知識には世間一般の常識も入る。

そして人を思いやる心が必要だ。」


思いやる心?


「人々が非情な者や無関心な者を賢者とほめたたえると思う?」


確かに、その通りだ。

賢者は難しそうだな。

それにスキルの組み合わせは無駄のようだし・・・


「いや、そんなことは無い。

現にその組み合わせを行った錬金術師がいた。」


え?

この組み合わせは成長できないのでは?


「特殊能力としての組み合わせの場合はね。

錬金術師の場合、加速空間の技能を持っていた。

そして、寿命停止に近い魔道具を作り出し使用したんだ。


その結果、錬金術用の基礎材や回復薬等

自分がすでに習得している物を大量生産することに成功したんだ。

だから一概に使えないという事は無いんだよ。」


へぇ。

使い道はあったんですね。


「うん。

錬金術師はこの組み合わせで多くの人を助け、聖人と呼ばれるようになった。


あ、賢者で思い出したけど。

TVゲームの賢者ならなることは出来ないよ。」


な、ナンダッテー!!


「仮に多くの技能を覚えようとしても、

脳の記憶容量の問題が立ちふさがる。

人の脳は意外に余計なことも記憶するんだ。

そして記憶の容量以上は記憶できない。」


じゃあ、記憶の限界量って?


「多く見積もって、300年と言ったところだろうか。

だから、今さっき言っていた

武術や魔術の技能を極めるには脳の容量が足りないね。」

補足

今現在の所、人間の記憶できる年数は140年分という説もありますが

少し容量を増やして300年としています。


でも、実際の所、従来より10倍記憶できるという説があるので

単純に1400年?

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