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てんせいのかみさま  作者: 士口 十介
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始まりの話

私は気が付くと何もない所に立っていた。

何もない真っ白の空間。


境界が見えないので部屋の大きさがわからない。

ひょっとしたら果てが無いのかもしれない。

ただ判るのはこの場所に立っている。

少なくとも上下方向があると言う事だけだった。


どれだけ時間が過ぎたのだろうか?

何時間?いやひょっとしたら数秒かもしれない。

ふと気が付くと、何もないはずのその場所にそいつは立っていた。


足には編み上げのサンダルを履き、

古代ローマを思わせる様な白い光沢のある布を巻き付けた服装、

頭には月桂樹のような冠、

顔には白い顎髭と口髭が蓄えられており、

どこでもある様な顔をしている様に見える。

イメージに近いのはスマートなサンタクロースだろうか?


そいつはこちらが近づくと気さくな声で話しかけてきた。


「やぁ、こんにちは。

僕はと世界の管理者の一人だ。

そうだね、君たちの概念でいうと神様に近いかな。」


気やすく話す自称”神様”は話を続ける。


「簡単に言うと、君は死んだ。


一点の曇りなく、

文句なしに、

完全に、

完璧に、

十全に、

疑いなく、

明確に、

君は死んだ。」


自称”神様”曰くどうやら私は死んだらしい。


「死んだ原因を聞きたいかい?

それはよした方がいい。

君の死は不可逆なもので戻すことは出来ない。

聞いたところで一つも経験にはならないので時間の無駄だ。

同じ状況になるとは限らないしね。」


自称“神様”の言葉に頷く。

確かにその通りだ。

聞いたとしても死んだ以上次は無い。

時間を戻せない以上、死亡原因を聞く必要はない。

それに次回に生かせるわけではないのだ。


と思っていたら


「あ、でも転生、

生まれ変りで記憶の保持があれば別かもしれないね。」


転生?生まれ変わり?記憶の保持?


「そうそう、僕の役目を言い忘れていた。

僕は転生を担当する管理者の一人なんだ。」


驚きのあまり言葉を失ってしまった。

しかし転生とは・・・。

“タダより怖いものは無い”と言う言葉がある様に

彼には何かの目的があるのだろうか?


「いいねぇ。その通りだよ。

利点が無いのに転生させているわけでは無いよ。

転生することで僕らに何があるのか説明しよう。」


やはり何かあるのか、

さて、何が考えられるか・・・。


と同意せずに思考を巡らしていたら、

自称神様は同意をしない内に説明を始めてしまった。


「君たちが転生することで“魂の循環”が起こるんだ。

循環により新たな魂が生まれ世界は拡大する。

世界の拡大は僕ら管理者の評価になり、

評価が上ると上の段階に進むことが出来る。

そうやって僕らは神華?進化?してきたんだ。」


それを聞いて少し安心した。

どうやら転生させることが彼らの目的に合致することの様だ。


「さて、僕は君を新たな世界に転生させる上でいくつか希望する特典、

所謂、転生特典を与える事になっている。

特典と言っても様々な物があり、

中には特殊能力など規格外チートな物がある。

どの能力も利点や欠点、注意点が存在するので考えないといけないね。」


どうやら小説で言う、“異世界転生”を行ってくれる神様らしい。

だが、規格外チートな能力の欠点や注意点とは何だろう?


「どんな注意が必要か聞きたいようだね。

確かに利点や欠点、注意点があるのか判らないと取るのは難しいかな。


よろしい。


転生特典を取った場合の利点や注意点を君に解説しよう。」


そうして自称“神様”による転生特典の解説が始まった。

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