第2話
見覚えのある顔の女子生徒と接触し、逃げるように教室へと向かった僕。
そこからは特に何もなく、教室の前に辿り着いた。
戸を開けて入ってみると、そこには入学式でも見掛けたあの女子が。
「おはよう」
こちらから挨拶しても、彼女は何一つ動じない。
声が小さかったのか?
自分の席を探すフリをして反応を待つ。
すると突然、彼女は此方に向かって歩いてきた。
「おはよう。 ここで会うのは初めてね?」
「そうだな。 名前は忘れたが」
「……呆れたわ。 顔の特徴くらい、覚えておきなさい」
「呆れたのは僕の方だ。 そう思ってるなら、直接言えばいいだろう」
冷めていく空気。
そこに割って入るかのように教室に来たのは―――――あいつだった。
「おはようござい……何をしているんですか?」
「割り込んでこないで!」
「いや、何も無い。 そもそも俺は何もやっていない」
「いえ、叱るような声が聞こえてきたので……」
「だから何も無いって言ってるだろ?」
「……すみません」
正直、彼女達にとって、久々に見た僕の印象は最悪だろう。
しかしこの2人、見た目はかなり綺麗になっている気がする。
今こそ亀裂ができても可笑しくない上に現時点では名前すら分かっていないが、高校を出るまでには何れかと付き合いたい。
その時はその時で、2人が僕の中での高嶺の花と化しているかもしれないが。
このあと流れてきた校内放送で、僕を含む3人が場所を間違えていた事が発覚。
今日は始業式だったらしく、体育館へと向かう事にした。
その道中―――――。
「先程は本当にすみませんでした。 あと、もう一つ聞きたい事が……」
「今度は何だ?」
「夜に電話をかけたと思うんですけど……」
やっぱりお前だったのか。
「ああ、その事か。 まず、何故僕の番号が分かったんだ?」
「見覚えのある顔だな、と思って。 それでまず電話番号を調べておこうかと……」
「まさかたまたま掛かった、とは言わないよな?」
「形としてはそんな感じになりますけど……」
嘘だろ?
適当に入れて適当に掛けた結果が僕の携帯だったとでも言うのか?
「……すみません、やっぱり違うかもしれないです。 誰かに教えて貰いました」
やっぱり嘘だったか。
真面目そうな方と会話を交わし、体育館へ。
特に異変もなく、予定通り式は進行。
その後、僕は無事帰宅した。