初めてのパーティー結成
夕方までは時間があったので、土木建築の親方の所で手伝いをして時間を使ってからまたギルドへ足を運んだ。
夕暮れ時のギルドは昼間に比べると人が多く賑やかになっていた。
仕事帰りでギルド併設の酒場で酒を飲んでいる人も多いので喧噪と言える程であったが、深く気にせずまずは受付に向かう事にした。
暫く並んでからようやく自分の番になったので、紹介者が来ているか確認してみた。
すると、もう来ているという事で酒場の奥側で飲んでいる人を指す。
受付に礼を言ってから目的の人の座る席へ向かった。
「お初にお目に掛かります、ギルドからパーティーメンバーの募集で紹介して貰ったフィーナ・アレスティアといいます」
「おう、聞いてるよ。あたいはライラ・ヒューズっていうんだ、まあなんだ取りあえず座りなよ」
相席を勧められ正面に座る。
「何処まで聞いてるか解らないだろうから、お互いの自己紹介から始めようか?名前は言い合ったから、それ以外で」
「職は神官ですね。回復と補助の祝福が一通り使えます。10等級になったばかりですので冒険者としては素人と考えて頂ければ解りやすいかと。先日この町に来ましたが、タイミングが悪かったそうでパーティーに加入する事が出来て居ませんでしたのでそのあたりも経験不足ですね」
「10等級で祝福が一通りできるなら将来有望だねえ。と、あたいの方も紹介しておくと現在7等級の戦士職だ。昔は5等級まで行ってたんだが、見てのとおり腕をやっちまってね、そのままじゃパーティーメンバーの足を引っ張るってんでソロに転向したってわけだ。で、そのまま5等級での仕事がこなせなかったから現在は階級落ちして7等級ってわけさ」
アニーさんの言っていた訳ありとはそのあたりの事だったのだろう。片腕になったとはいえ元5等級というのは凄腕なんだろうな。
「まあ、そんな経緯で基本的にはソロでやってるんだけどね。まあ、あんたみたいに駆け出しを見ると昔観た夢を思い出してね。どうにもお節介を焼いちまうってわけだ」
「私としてはそのお節介がとても助かるのですが、パーティーを組んでしまっていいんですか?そうすると他の方の手助けとか出来にくくなるんじゃないです?」
「なあに、今年の新人で危なっかしいのは共同訓練って名目でしごいてやったからね。ギルドの新人の中じゃ神官で尚且つパーティーの組めてないあんたが一番危なっかしいんだよ」
確かに冒険のススメには前衛のない後衛職は魔物いい餌だと書いてあったから。
「それではパーティーを組むという事で話を勧めましょうか」
「そうだね、条件としてはあんたが、あたい以外とパーティーを組めるようになる、又はソロである程度活動できるようになるまで組むってところが条件下ね」
「ずっと、ではないんですね?」
「10等級じゃ組む相手が見つからない事が多いけど、流石に9等級からはそこそこ入れ替わりもあるからね。今みたいに探すのを苦労はしなくなるんだよ」
「それは、何でですか?9等級といっても一つランクが上がっただけですよね?」
「10等級は、聞いてるかどうかしらないけど見習い冒険者見習いだからね。9等級に上がる前に冒険者としてやってけるのか振るいにかけられるのさ、当然10等級での功績と本人の実力を見られてから上がるんだよ。いわば冒険者ってのは本来9等級からの事を指す。そこまで上がれるなら実力は最低限ギルドが保証してるし相性の問題だから割と組んだり離れたりとがあってパーティーに入りやすいのさ」
「10等級はお試し期間ですか。そうするとライラさんと組めるのも10等級でパーティーを組めるか、9等級に上がる事ができるかまでですか?」
「後は、あんたが冒険者にまったく向いていない場合も解消かね。能力に問題が無くても魔物を前にして戦っていける資質がないと冒険者なんてやってられないからねえ」
それはそうだと頷いた。後衛職とはいえ魔物を前に何もできないような事では冒険者なんてやってられないだろう。
「まあ、最初はびびるかもしれないけどあんなもんは慣れだからね。よっぼどの臆病者じゃなけりゃ二三回戦えば緊張もしなくなるよ。」
「そんなものですか」
「元から臆病ならそもそも冒険者になりに来たりしないしね。さてあとは報酬とかだが、これは等分でいいよ」
「それは...こちらとしては有難いですが、悪い気がします」
「まあ慈善事業みたいなもんだから気にしなさんな、あたいは蓄えもたんまりあるんだからこっちは困ったりしないよ。まあそのあたりもパーティー内での揉め事の原因だからね暇なときにおしえてやるよ」
金銭のトラブルは必ずあると師匠も言ってたから、教えて貰えるなら教えて貰おう。
「それじゃ明日から本格的にパーディーの開始ってことで朝一にここで待ち合わせと行こうかね」
「はい」
顔合わせは問題なく済んだ。ライラさんは本当にいい人のようだ、これで要約冒険者としての第一歩が歩みだせる様だ。