パーティ募集の行方
3日が経過した時点で、祝福掛けの仕事はギルドに依頼が出されるようになったようだ。
親方の所ではまだまだ働けているが、替えが効かない訳ではないので今後どうなるか。
これだけで食べて行けるんじゃないかという考えは無理があった様だ。
パーティーは未だ組める目処が立っていない為、今後が心配なのだがどうしたものか。
本日も取り敢えずギルドに顔を出す。
時間は朝一からは過ぎた時間だ。二日前に朝一番で来てみたが、あまりにも雑踏というかイモ洗いというか人で込み過ぎて辟易させられたからだ。
贅沢な悩みなのだがあの勢いに入っていく勇気は出なかったので仕方が無い。空いて来た頃には10等級の仕事は全部剥がされていたので朝から来る意味がほぼ無いのである。
まずはパーティー募集板に向かう。
見てみるが、該当する募集は無く自分の募集も特に代わり映えしていなかった。
残念に思いながら、念のためと受付に向かう事にした。
「フィーナさん、おはようございます」
受付嬢のアリーさん、毎日来ていたら名前を憶えてくれたようだ。私の方も覚えたんだけど。
「おはようございますアリーさん」
「時間的にはそろそろこんにちわですよフィーナさん、もっと覇気を持って朝から依頼を受けれるようにならないと冒険者なんて遣っていけませんよ?」
ははは...と笑って誤魔化す。それはそうなんだろうけども、あの混雑の中に突入していくだけの気力が出ないのも本当の事だ。
「それでアリーさん、いつもの如くパーティーの募集の方なんですが......」
「ええ、それでしたら一つ話が有りましたよ?」
「本当ですか!!」
カウンターにぐいっと突っ込むように食い気味で反応してしまった。
「え、ええ。まだ掲示板の方は処理してませんけど7等級のソロの方から是非お話をさせてほしいと言う事でした」
「7等級の方なんですか?」
てっきり10等級の人だと思っていたが、7等級という事は結構な腕前の人なのだろう。
「ええ、ソロ主体の方なんですがね。まあ言ってみれば世話好きな人で、組めないで困って居るならっておっしゃってまして」
「そんな親切な方がいらっしゃるんですね」
「まあ、いろいろ事情のある方ですけどギルドとしてもあの方がこのギルドに居てくれてたすかってますよ。新人教育と称して安い依頼金で引き受けていただいたりと結構恩のある冒険者もいるんですよ」
「そんな凄い人なんですか、でもそれなのにパーティーを組んでは居ないんですね」
それがいろいろな事情とやらなのだろうか。
「とにかく先方からはまず会って話をしようという事でして、何時をセッティングしましょうか?」
「こちらとしては何時でもいいんですけど、その方の予定に合わせますよ」
「では本日の夕方、この酒場でどうでしょう。今日の依頼で一応出て行かれていますがその頃には戻られるので」
「解りました、ではそのようにお願いします」
「解りました、では戻られたら伝えておくようにしますので時間をみて顔を出してくださいね」
「はい」
もっと時間が掛かると思っていたが、冒険者生活に進展があるようだ。