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やりたい事をやる為に  作者: 千月 景葉
第一章 黒き森
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93. グレースへの答え

お読み下さり有り難うございます。

今日は予約投稿できました!久しぶりだわ!

次から森の視察篇に入ります。

 時間は少し戻って、アラベラのジェラルドの邸宅の朝。



 側仕えのオスサナやフェルスの心遣いで、ゆっくりと眠ったオーウェンはスッキリと気持ち良く朝を迎えた。

 オーウェンがベッドで起き上がった事に気付いたオスサナが、天蓋から掛かる薄布越しに

「お目覚めでいらっしゃいますか、坊っちゃま。おはようございます。

 布を開けても良うございますか?」

 と聞いてきた。

 オーウェンは伸びをしながら

「おはよう、オスサナ。良いよ、どうぞ」

 と返答する。

 オスサナはサッと薄布を纏めて上げ、ベッドのオーウェンに腰を屈めて礼をした。

 礼をした後オスサナは

「この後食堂にてご朝食を共にと旦那様が仰られております。

 但しオーウェン様のご体調が第一です。お疲れは少しは取れましたでしょうか?

 もしご体調がよろしくなければ、お部屋でご朝食を取られることも出来ますが。

 如何されますか?」

 とオーウェンの答えを待つ。

 オーウェンはニッコリ笑うとベッドから降りて

「ああ、体調は問題ない。お陰で疲れが取れたよ。ありがとう、オスサナ、フェルス。

 勿論食堂でお祖父様達と朝食を頂くよ。返事をしておいてくれ。

 ああ、着替えを出しておいてくれたのか、ありがとうオスサナ。では支度をする、すまないがフェルス手伝ってくれ。オスサナ、後を頼む」

 と続き部屋のお風呂に向かった。

 オスサナが又一礼し

「かしこまりました。ごゆっくりお支度をなさって下さいませ。

 フェルス、お願いしますね。私はご朝食の件を伝えて参ります。

 失礼いたします」

 とオスサナが下がる。

 手早く身支度を整えたオーウェンは、フェルスと共に直ぐに食堂に向かう。



 既に食堂には朝食の準備がなされ、オーウェンが入るとジェラルド、グレース夫妻が席についていた。

「おはようございます、お祖父様お祖母様。お待たせして申し訳ありません」

 と詫びながら、オーウェンは席につく。

 グレースがニッコリ笑い

「おはようオーウェン。

 さぞ旅の疲れが溜まっていた事でしょう。昨日は私も気が回らず、貴方には可哀想な事をしてしまったわ。

 今朝は疲れは無いの?無理をしてはいない?」

 と孫の体調を気遣う。

 オーウェンは首を振り

「側仕え達が心を尽くして世話をしてくれたので、久々にゆっくりと休めました。お陰で疲れは取れましたよ。有り難うございます。それよりお祖母様こそ体調は如何ですか?お顔の色は大分よろしいようにお見受けしますが……」

 とグレースを気遣う。

 グレースはジェラルドを見ながら

「あの後私もゆっくり休んだから大丈夫。夕食は自室でジェラルドと取りましたしね。ね、貴方」

 と言った。

 ジェラルドも頷き

「おはようオーウェン。昨日はすまなかったな。儂の気が回らぬばかりに、無理をさせてしまった。

 ああ、先ずは食事をしよう。皆、頼む」

 と周りの側仕え達に声を掛け、給仕を始めて貰う。

 雑談をしながら朝食を済ませた後、ジェラルドがグレースとオーウェンに

「さて、グレースの部屋に行こうか。昨日、お前に約束した件の話をしよう。人払いをしなくてはならぬからな。コレの部屋が一番良かろう。

 グレース、オーウェン、良いな?」

 と確認する。

 2人は大きく頷き、皆で直ぐに食堂からグレースの自室に移動した。

 グレースの自室に入るとジェラルドはアレクとモニカを残し、人払いをした。

 結界を張ると、グレース達が座るソファに向かい合わせで自らも座る。

 ジェラルドは開口一番

「グレース、結論から言うと視察に同行は駄目だ。昨日の体調を見ても、とても森までの距離には耐えられぬと判断した。これはオーウェンも同じ判断をした。そうだな、オーウェン」

 とグレースを見てから、オーウェンに確認する。

 オーウェンは頷き、痛々しそうにグレースを見ながら

「ごめんなさい、お祖母様。僕はお祖母様を失いたくない。例えお祖母様に酷い、情の無い孫だと詰られても、大事なお祖母様の体に障ると解っている視察の同行を見過ごすわけにはいかないのです。

 視察に同行する僕がこんな事を言うのは、勝手過ぎる話です。お祖母様に嫌われてもしょうがないと思っています。

 ですが、申し訳ありません!ここは譲れない。お祖母様には出来る限り、長生きをしていただきたいのです。

 ……どうか、わかってください」

 と言って、頭を下げるオーウェン。

 グレースは解っていたように苦笑を浮かべ、小さく首を振り

「……そう。貴方、オーウェン、ごめんなさい。我が儘だとは解っていたし、体だってこんな具合ですもの。無理だと言われるのは、当たり前よね。

 考えてみれば、あの子の母であるアナスタシア、父のブライアン、姉のエレオノーラだって会えないのだもの。辛いのは私だけでは無いわ。充分解ってはいるの。

 だけど……一目会いたかったの。あの子に。それだけだったのよ……」

 と言って俯いた。

「奥様……」

 とモニカが駆け寄り、膝を付いてグレースを気遣う。

 オーウェンは気落ちした様子のグレースを見てから、ジェラルドの目を見る。

 ジェラルドは一つ頷いて微笑む。

 オーウェンは微笑んで頷くと、俯いたグレースの手を握る。

 それでもグレースは顔を上げず、小さな声で

「じゃあ、これでお話は終わりね。……少し疲れたから休んで良いかしら?」

 と力無く呟いた。

 オーウェンはグレースの手をギュッと握ると

「……未だですお祖母様。話は終わっていませんよ?

 確かに視察の同行は許可出来ないと、お祖父様は判じられました。

 でも一目あの子に会いたい、声が聞きたいと言う望みは叶えて差し上げられます。クロエを抱き締めることは叶いませんが、会うことは出来ますよ、お祖母様。

 そうですよね、お祖父様?」

 と笑う。

 ジェラルドは頬を掻きながら頷く。

 グレースは驚いて顔を上げた。

「え?会って話が出来る……?クロエと?」

 と彼女は戸惑った表情を浮かべ、訳がわからないと云った声を出す。

 オーウェンは笑ったまま頷き

「何も難しい事じゃ無かったんです。魔術法具で通信術を使えば良かったんですよ、お祖母様。

 今あちらにはディルク先生がおられますし、僕らが視察に行った際に事情を話して、何とかクロエに通信術で会えるようにします。

 未だ1才ですからお話も片言位かもしれませんし、もしかしたら泣かれちゃうかも知れないので守人夫妻に付き添って貰わないとならないかもですが。

 今すぐにでも通信術を使えばと僕は思ったのですが、お祖父様と先生は視察後と仰いますので、暫く待って貰いますがどうでしょう、お祖母様。

 ……全てを叶えて差し上げられなくて申し訳ありません」

 と祖母の表情を窺う。

 グレースは戸惑った表情からやがて嬉しそうな表情に変わった。

 ジェラルドがばつが悪そうに

「実は先生に叱られた。其方が体調を崩すまで、何故相談もしなかったとね。

 確かに通信術ならクロエに会わせてやれる。只、あの子の成長具合が解らない。先日アレは魔力暴走を起こし、一時生死の境をさ迷った。その後合併症も起きたと聞いている。先生を含めた家族全員であの子の看病をし、その重圧からか暫くガルシア達もピリピリしておったし、子供達も精神的に相当参っていたそうだ。今はクロエも回復し、皆も普段通りに戻り問題ないそうだが。そこは安心していい。

 只な……クロエの見た目が急成長しているそうだ。1才だがとても1才には見えぬらしい。後、行動もとても赤子とは思えぬ程に成長を遂げたらしい。

 ……儂も俄には信じ固い報告ばかりでな、正直詳細が理解出来ないし、掴めないのだ。だから直接視察でクロエと会ってから、其方とアレ双方に負担が無いようせねばと思う。

 だから視察が終わってから、としたい。

 それで良いか、グレース?

 もっと早くこの手を思い付いておれば、其方をこんなに悩ませずに済んだ。オーウェンが気付いてくれなければ、未だ其方を悩ませていただろう。

 ……儂の気が回らぬばかりにすまぬな、許しておくれグレース」

 と言うと、グレースに近寄り彼女を抱き締める。

 グレースは嬉しそうに

「あ、ありがとう!貴方、オーウェン!

 とっても嬉しいわ、ええ、ええ!待つのなんてどうってこと無い!

 視察の間、ちゃんと体調を整えながら留守を守るわ。

 だけど、あの子達に極力負担が掛からないように……どうかお願い。

 ……そうよね、そもそもクロエが倒れたって聞いて焦ってしまったのよ。私もこんな状態で、小さなあの子までそんなっ……て。

 すっかりあの子に会うことに気持ちが囚われ過ぎてしまっていたわ。

 貴方、オーウェン。全てお任せします。……もしクロエがどうしても嫌がるようなら諦めるわ。だからあの子の都合を第一に考えて上げて下さいね。

 でも、出来たら会いたい……声が聞きたいわ。だから、お願いね」

 と言って、輝くように笑いながら2人に頼む。

 ジェラルドとオーウェンはそんな彼女に力強く頷いたのだった。




 時間は再び進み、場面は通信術が切れた直後のジェラルドの執務室に移る。


 オーウェンはジェラルドに抱き寄せられて暫く立っていたが、やがて

「……そうですね。僕達だってクロエを思う気持ちは彼等に負けていない。

 あの子にとって何が一番良いことなのかは、これからもずっと考えていきます。

 先ずはお祖母様にクロエと会わせてあげなければならないし、その為にはあの子に嫌われないようにしないと。

 だけど僕より優秀な妹みたいだから、何だか自信が無いな……。

 クロエに会えるのは楽しみだけど、少々怖い気もします、お祖父様」

 と言って笑う。

 ジェラルドも安心したように笑いながら

「まさか其方が優秀さで負ける筈無かろう?

 ライリー、ミラベル、コリンも優秀なのは間違いないが、なあにオーウェンが後れを取る訳がない!

 只なぁ、クロエは確かに読めん子なんだ。何と言うか、本当に報告を聞くだけでも面白いのだよ。

 ……確かに先生が言った“面白娘”とコリンの“笑いの女神”は当たっておる気がする。

 儂の変な予感は良く当たるんじゃ。

 だから気負わず、面白い妹に会いに行こう。

 な、オーウェン」

 と言って肩を叩く。

 オーウェンもクスッと笑うと大きく頷いた。

「ああ、本当に会えるんだね……待ってて、クロエ。

 もうすぐ君に会いに行くよ」

 と小さな声で呟いたのだった。












次話は明日か明後日投稿します。

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