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やりたい事をやる為に  作者: 千月 景葉
第一章 黒き森
86/292

90. 妙な声

お読みくださりありがとうございます。

又遊んでしまいました……。

次!早く話進めます~!頑張ります。

「何だか明け方騒がしかったよね、お姉ちゃん」

 と、朝起きたクロエが姉のミラベルに言った。

 ミラベルも首をかしげながら

「そうなの。クロエも気付いてたんだ。何だか先生の怒鳴り声と誰かの泣きそうな声とが聞こえたような……」

 と考えながら応えた。

 クロエもミラベルの言葉に頷きながらベッドから這い出て

「あ、そうそう~!そんな感じだった!凄く高い声も聞こえた~。はい~って言ってた!」

 とミラベルの情報に自身の情報を付け加える。

「それ~!あれ情けない声だったね~。何だろ……父さんの声じゃ無かったよね。母さんがあんな声出す訳無いし、お兄ちゃんも有り得ない。

 とすると……コリンかな?」

 とミラベルが目を閉じて推理を働かせる。

 クロエが眉を寄せて

「コリンお兄ちゃんじゃないよ~。お兄ちゃんはあんな変な声じゃな~い!

 何て言うか……声が高い割りには父さんに近い野太い声と言うか……。

 もしかして動物の鳴き声かな?」

 とクロエも腕組みをして眉を寄せながら考える。

 ミラベルが首をかしげて

「夜の動物の声であんなの聞いたこと無いよ?父さんが急に“狩猟”したとしても、家の近くじゃ有り得ない。

 ……狩られる動物の最期の声はアタシ達は聞けない筈よ。

 やっぱり父さんが先生に怒鳴られたのかな?」

 と言うと顔をしかめた。

 クロエが不安そうに

「で、でも父さんと先生、昨日は楽しそうに話してたよね?先生機嫌良かったもん。

 まさか父さん、あの後何かやらかしたなんて事……無いよね?」

 とミラベルにこわごわ聞いた。

 ミラベルはう~んと唸り

「無い……と思うんだけど~。大体そこまで父さんと先生がやり合う理由無いし。先ず母さんが居るからそんな事態にならない筈だし~?

 ……考えれば考える程、解んないなぁ~」

 と最後は肩をすくめる。

 クロエも頷いて

「ま、考えても解んないから着替えよっか!お姉ちゃん」

 と衣装行李に近付く。

 ミラベルも伸びをしながら

「そうね~着替えよ着替えよ~!考えてもしょうがない~!」

 と彼女も衣装行李に手を伸ばした。


 彼女達が着替えて洗い場に行こうとすると、どこからか動物の唸り声がした。

 クロエはビクッ!と飛び上がり

「お、お姉ちゃ~ん……へ、変な声が聞こえるよぉ~!な、何の声なの~……?」

 とミラベルにペタッとくっつく。

 ミラベルもクロエにしがみつくと

「わ、わかんない~!……ま、まさか家の中に動物が入り込んだの?!

 だって、そんなの有り得ないよっ!

 だ、だけど……これって大きな獣の唸り声……?嘘よ、そんな事……!」

 と恐怖の余り、2人して抱き合ったままその場にしゃがみこむ。

 そこへライリーとコリンがやって来て

「おはよー!なにしてんの、2人共座っちゃって~。何の遊び?ねぇねぇ?」

 と能天気なコリンが目をキラキラさせて、しゃがみ込んだままの2人に尋ねる。

 ミラベルがキッ!と睨むと

「バカッ!大バカコリンッ!

 あ、あの不気味な声がアンタには聞こえないのっ?な、何か居るのよ~……この近くに~!」

 と泣きそうな声で訴える。

 クロエに至っては声すらも出せず、怯えた表情でコクコク頷くのが精一杯。

 ライリーが首をかしげながら

「不気味な声?……ああ、何か確かに声がしてるけど。

 でも、これってイビキじゃないか?……父さんかな?」

 と事も無げに言う。

 コリンが耳を澄ませて

「あ、ほんとだ~!父さんのイビキに似てる!でも、この声ってお客さん用の部屋からだよ?誰かいるのかな?」

 とあっけらかんと言った。

 ライリーが頷いて

「コリンが言う通り、客用寝室みたいだね。ちょっと待ってて。母さんに聞いてくるよ」

 と台所に居るであろう母の元に聞きに行こうとする。

 そのライリーの足をガシッ!と掴む手が彼を止めた。

 足を止められたライリーが振り向くと、うずくまっていたミラベルとクロエが涙目で、首をブルブル振りながら

「「お、置いてかないで~!お兄ちゃ~ん!」」

 と足に絡み付いていた。

 ライリーが困った表情になり

「……これじゃ置いてくなんて出来ないよ。だって僕が歩けない。

 全くしょうがないな……コリン、悪いけど母さんか父さんに聞いてきてくれないか?」

 とコリンに頼む。

 コリンが笑って

「わかった、聞いてくるよ!待ってて皆~!」

 と元気良くタタタッと台所に駆けていく。

 程無く台所からコリンと、彼に手を引っ張られたコレットがやって来た。

 コレットがライリーの足元にしがみつく娘2人を呆れたように見つめ

「貴女達……何やってるの?」

 と一言声を掛けると、その娘2人が声を揃えて

「「母さんっ!あの声なに?!こわいっ!」」

 と叫んだ。

 コレットは客用寝室の方を見て

「シーッ!静かになさい。ジェラルド様付きの護衛騎士、テオ様が明け方にお越しになったの。

 何でも先生に急な届け物があったそうよ。一晩寝ずに馬を駆って来られたから、相当お疲れなのねきっと……」

 と漏れ聞こえてくるテオの“イビキ”を聞いて苦笑した。

 ミラベルとクロエがキョトンとして

「「騎士のテオ様……?」」

 とライリーの足を離してその場に座り込んだ。

 コリンが笑いながら

「ほら、やっぱりイビキだよ~。2人とも慌てん坊なんだから~。クロエ立てる?ミラベル姉ちゃんもほら?」

 と2人の手を引っ張る。

 ミラベルは

「あ、ありがと……。なんだ、そっか……テオ様のイビキだったんだ……なんだ」

 とボソボソと呟きながら立ち上がる。

 しかしクロエは立ち上がらない。

 コリンが屈み込み

「クロエ?どうしたの、立てないの?」

 と聞く。

 クロエは泣きそうな笑顔になり

「あ、安心したら、腰抜けた……。母さん……這って洗い場行っても良い?立てない、アタシ……」

 と四つん這いになりズリズリ這い始める。

 コレットは呆れ返って

「何馬鹿な事言ってるの~!抱っこしてあげるからいらっしゃい!」

 とクロエを抱こうと屈む。

 するとコレットを手で制して、ライリーがヒョイとクロエを抱き上げる。

 そしてクロエをうまく抱き直すと

「母さんは朝食の支度してくれてたんでしょ?手を止めてごめんね。クロエは僕が連れていくから大丈夫だよ。台所へ戻ってて。クロエ達の準備をてつだったら、そっちも直ぐ手伝いに行くから」

 とコレットに笑う。

 コリンがちょっと不満気に

「僕がクロエを抱っこするよ~!僕だってお兄ちゃんなんだもんっ!」

 と手を伸ばす。

 ミラベルがそのコリンの手を握り

「アンタはアタシの世話してっ!さあ、顔洗いに行くわよ!お兄ちゃん、クロエよろしくね~!」

 とコリンを引っ張り洗い場に向かう。

 コレットがそんな子供達を見て

「もう大丈夫ね。ライリー、クロエをお願いね。コリンもお姉ちゃんを頼むわよ?」

 とクスクス笑って台所に戻ろうとする。

 コリンが

「何か違う~!お姉ちゃんに世話なんて要らないしっ!僕引きずられてるし~!」

 とコレットに訴えた。

 コレットが

「お姉ちゃんは照れてるのよ~。だから世話されてあげなさい、コリン?」

 と振り向いて言うと、今度こそ台所に戻っていった。

 クロエがライリーに

「ごめんなさい……迷惑かけて」

 と小さな声で謝る。

 ライリーが眉を上げて

「……妹が腰抜かしてるのにほっとけないだろ?こういう時は謝るんじゃなくて“ありがとう”だよ、クロエ?」

 とクロエの頭を撫でながら優しく言い聞かせる。

 クロエはライリーの言葉を聞いて、照れ臭そうに笑い

「うん、ありがとう……お兄ちゃん!」

 と素直に言い直す。

 ライリーも笑って

「それで良い。さぁ早く洗い場に行こう。……クロエのほっぺたにヨダレの跡が残ってるからね」

 と最後にクロエが慌てる一言を付け足す。

 クロエは笑みを引っ込め、両手でほっぺたを撫でて

「えーっ!……あ、ほんとだ、付いてる……」

 と顔を赤くする。

 ライリーが笑って

「ね?……まぁ大抵朝のクロエのほっぺたには付いてるんだけどね~」

 と更に小さな爆弾を投下する。

 クロエは自分の両手でほっぺたを挟んだ“ムンクの叫び”状態で

「嘘ーっ!」

 と一言叫んだのだった。



 洗い場でライリーに下ろして貰って何とか立てたクロエは、皆で顔を洗ったり歯を磨いてから、揃って食堂に向かった。

 食堂には既に準備が出来ていて、既に食べ終わったディルクとガルシアが座って話をしていた。

「「「「ディルク先生、父さんおはようございます~」」」」

 と子供達は揃って朝の挨拶をする。

 ディルクとガルシアも笑って挨拶を返す。

 子供達は各々自分のいつもの席に座ると、いつも通り手を合わせて

「いただきます!」

 と元気良く食前の挨拶をした。

 コレットが笑って

「はいどうぞ、良く噛んで食べなさいね!」

 と返事をした。

 子供達が行儀良く朝食を食べ始めると、ガルシアが

「ああ皆、騎士のテオ殿が来られているのは母さんから聞いたな。テオ殿が目を覚まされたら、ちゃんとご挨拶するんだぞ?」

 と子供達にテオが来たことを再度伝える。

 子供達は各々返事を返し、食事を続ける。

 食事を続ける子供達に、今度はディルクが

「ああ、今日はガルシアが木工をするらしいから、朝はコリンもライリーも木工小屋だそうだ。ミラベルはコレットと裁縫を。クロエは儂と講義だ。

 午後からはコリンとクロエが昼寝中に、ライリーとミラベルの講義。コリンはその後講義だ。良いな?」

 と子供達に予定を伝える。

 子供達は大きく頷いて返事をした。

 食事が終わると直ぐに指示通りに各々別れていった。



 クロエはディルクと共に小屋に向かう。

 クロエはディルクの横をチョコチョコ歩きながら

「先生、騎士のテオ様は元々来られる予定だったのですか?」

 と彼を見上げながら聞いた。

 ディルクが首を横に振り

「いや、緊急だ。少々ジェラルドの馬鹿から相談を持ち掛けられておってな。

 通信術で先に話は聞いておったが、あ奴はその相談の資料を持ってきたんじゃ。

 まぁ、これ以上はフェリークの機密じゃから話せぬ、良いか?」

 とクロエを見下ろし話す。

 クロエが頷き

「あ、それはすみませんでした……。充分です、はい。

 でもビックリしましたよ?明け方に何だか先生の怒鳴り声と誰かの泣きそうな声が聞こえてきたんですから~!

 まさかテオ様だとは思わなかったけど……、だってあんな……ププッ!」

 と堪えきれず吹き出すクロエ。

 ディルクが片眉を上げて

「何を笑っとるんじゃ?クロエ」

 と聞く。

 クロエは口を押さえて

「い、いえ……何でも~」

 と笑いを抑える。

 ディルクがニヤリと笑い

「何でも無い顔では無いな……。気になるのう~。教えんか、これ」

 とクロエを覗き込む。

「何でも無いです!本当です!」

 とクロエはそっぽを向く。

 ディルクはクロエを抱き上げると

「教えぬと……こうじゃ!」

 と言ってクロエの脇をこちょこちょとする。

 クロエは身を捩りながら笑い

「ぎゃー!アハハアハハ!やめ、アハハハハッ!言います!アハハハハー!やめてーっ!」

 と直ぐに落ちた。

 ディルクが直ぐにやめると

「ほい、喋ってみ?」

 とクタリとしたクロエに聞く。

 クロエは恨めしそうにディルクを睨み

「これって立派な拷問ですからねっ!

 もうっ、先生キライ!」

 と言うとプンッ!と又そっぽを向く。

 ディルクは笑うと

「お主は優しいから、人をキライになどなれぬよ。儂とは違って純粋だしの。

 そんなお主に隠し事など性に合わぬじゃろ?早く話した方が、素直なお主もスッキリするぞ?ほれ、言ってみ?」

 と優しく詰め寄る。

 クロエは口元をヒクヒクさせて

「……流石騎士団の参謀……、恐ろしいまでの尋問のテクニックだわ!

 飴とムチを使い分けてる……、クッ!騙されてなるものか~」

 とディルクを睨む。

 ディルクは驚いたように

「こんなもの尋問でも何でも無いわ。単なる会話じゃ。何を言うとるか、この面白娘が」

 とクロエを高い高いの状態に抱き上げたまま小屋に向かう。

 クロエは足をブラブラさせて

「先生下ろして下さ~い!歩きます~」

 とディルクに願う。

 ディルクが高く彼女を抱き上げたまま

「教えてくれたら下ろしてやろうな。

 さ、早う言え?でないと年寄りの儂の体がどうなっても知らんぞ?

 ほぉれ、腰と肩が段々辛くなってきおった……。

 このままじゃと午後からは講義出来ぬ様になるかも知れぬ。

 ……クッ、流石に背中も痛く……」

 とディルクが顔をしかめ始めると慌てたクロエが

「やだ!先生ナニ無理してんですか!言うから言うから!早く下ろして!

 先生がギックリ腰になっちゃう!」

 とディルクに言う。

 ディルクが顔を歪め

「い、いや……お主が喋るまでワシャ耐えるぞ……。肩が壊れたら……すまん」

 と手を震わせながらクロエを高く抱き上げ続ける。

 クロエは慌てて

「わかりました!あのですね、先生に怒られているテオ様の声が、まるで森の獣の断末魔に聞こえたんです!

 なんとも甲高くて、そのくせ野太いのに情けなく悲しい声だったのでっ!

 それに今、客用寝室で眠っていらっしゃるテオ様のイビキを聞いたお姉ちゃんとアタシ、イビキを完全に家に迷い込んだ獣の咆哮と勘違いして、アタシは腰まで抜かしたんです!

 これで良いですか?!は、早く下ろして下さ~い!ギックリ腰にさせちゃう~!」

 と思いっきりぶっちゃけた。

 するとクロエを下ろすどころか高く抱き上げたまま、ディルクが体を震わせ顔を赤くして頬を膨らませると

「ブッハーッ!ブヒャヒャヒャヒャ!アーヒャヒャヒャ!ヒーッヒッヒッヒッ!け、獣ーっ!ギャーハッハッハッ!」

 と、盛大に吹き出した。

 クロエは出来るだけディルクの体の負担にならないように大人しくしながら

「センセ、センセ!笑って良いですから、早くアタシを下ろして~!先生の肩や腰が~!」

 と懇願する。

 ディルクは一頻り笑った後、クロエを抱き直して頭を撫で

「あーっ!笑った笑った!やっぱりお主は面白いのー!

 ウム、やはり指導役は譲れんな。こんな面白娘が他に居るものか。お主を見てると心底飽きぬわ!」

 と一人納得したように頷く。

 クロエはディルクの腕を軽く叩いて

「そんなワケわからない話はどーでもいーです!早くアタシを下ろさないと、体がどうなるか解りませんよっ!」

 とディルクを説得する。

 ディルクは笑って

「ああ、あれは嘘じゃ。たかが幼子一人高く抱き上げて暫く歩いても問題ない。老いても、剣聖と言われたこともある儂じゃ。昔程は無理でも、体は日々鍛えておるでな、安心せよ、ん?」

 とクロエにウインクする。

 クロエは顔を赤くしながらフルフルして

「又騙しましたねーっ!先生のバカーッ!」

 と叫んだ。

 その声を聞いて又ディルクがカカカと笑った。



 その同じ時、少し離れた木工小屋にて。

 木工道具や材料を準備していたガルシアとライリーとコリンが、ディルクの大笑いする声に気付いて手を止めた。

 次いでクロエの怒った声と又ディルクが大笑いする声を聞く。

 ガルシアがボソッと

「……クロエは本当に不思議な子だな。あの気難しくて、皮肉屋のディルク先生をこうも度々笑わせるとは。

 考えたらクロエが生まれてから、家は笑い声が凄く増えたよな……」

 と呟く。

 ライリーとコリンも頷いて

「クロエはいつも笑ってくれるから。側に居たら自然と笑ってしまうよね」

 とライリーが言えば

「だって楽しいことばっかり教えてくれるもん!凄いよね、僕の妹は!

 まるで笑いの女神様だよ~!」

 と頷く。

 ガルシアとライリーはコリンの言葉を聞いて顔を見合わせて

「確かに。……コリン、お前も凄いな。クロエは確かに笑いの女神さまだ」

 とガルシアが笑い、ライリーも

「うん、上手いよ。コリン頭良いな。クロエは笑いの女神さまか。当たってる!絶対クロエはその方が似合ってる!」

 とコリンを褒める。

 コリンはへへッ!と得意そうに笑うと

「だってクロエってスッゴく頭良いのに、時々とんでもないお間抜けするでしょ?さっきも腰抜かして、抱っこしてって言えば良いのに這おうとしたりさ~!見てて楽しいし、次何するか目が離せないんだよね~」

 と笑う。

 ガルシアとライリーもプッと笑うと

「「言えてるな~!」」

 と大笑いしたのだった。











明日はスマホ機種変更するため、明後日投稿します。

私事ですみません。

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