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やりたい事をやる為に  作者: 千月 景葉
第一章 黒き森
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81. 魔術法具による通信

お読みくださりありがとうございます。


今日時間があったので、前の方の話を読み返していました。非常に不味いミスを幾つか見つけ、嫌な汗をかきながら訂正しました。

すみません。未だある筈です。ああ怖い。


後今日書いた魔術法具は、オルゴールと錬金術のエメラルドタブレットを交ぜたようなイメージで書いてます。

術式の符号はスート的な物を想像しましたが、よく考えたら魔力6属性にしてるから、スート諦めました。

「クロエめ。全てを知っているのかと思えるほど、的の得た答えを出しよった。

 これ程の答えは期待しておらなんだに、ほぼ欲しい言葉は得てしもうたな。

 いやはや参る。あの娘だけはまことに面白いのう。恐れ入った。

 アレが男で儂が参謀で未だあったなら、騎士団に是非欲しい逸材じゃ。優しすぎる故、荒事に向かぬように思えるが、そういう所でこそ違った視点の持ち主が欲しいもの。争いや残虐な事は極力避け、何とか平和的解決を模索するのに、あの娘の思考能力は正にうってつけ。

 ……まぁ今となっては望むべくもないが、そう考えてしまうほどクロエの考え方は理路整然としているのに、人に温かい。……出来た娘じゃの。

 前の世界の両親はさぞかし思慮深い人物であられるんじゃろうて。叶うならば、是非一度会うて話をしてみたいものじゃ……。

 さて、儂が練っておった案はアレのお陰でほぼ必要は無くなったな。

 だが、後1つ。これは手を打っておこう。ミラベルにはこの薬が必要じゃ。あの面白娘には絶対知られるわけにいかぬが、ライリーとミラベルの為には処方しとくべきじゃろう。

 ま、時間が掛かるのは仕方有るまい。対応は二段構えとするか」




 クロエを森の家に送り届けたディルクは、小屋に帰って自室に入るとそう呟きながら、ある魔術法具を出した。

 ある鉱石で出来ているお盆の様な丸くて平たい見た目の法具。

 真ん中は一段低くなっていて、そこに前の世界で使われていたオルゴールの楽譜となる突起の付いた円盤の様なものををセットするのだが、突起部分が術式を顕す符号や数式となっており、盤には下に貫いた風穴が6つ開いている。盤の下には更に風穴と連動出来るように丸い窪みが6つ有り、そこに各属性の魔晶石を置くのだ。

 この魔術法具は色んな形があり、携帯し、装飾品としても使用出来る円筒型、据え置きし使用する盆型が主となるが、セットする術式盤を変えれば色々便利な魔術を行使出来る。

 但し法具を用いて各魔術を発現させるには、術の行使者が魔力発動が出来る事が最低条件。つまり魔力発動及び発現が出来ない者にはこの法具は使えない。

 一般の者は通常見ることは無いのだ。

 又そういう魔術法具は売っていない。当たり前だが作れる者は限られる。

 魔力や魔術、又算学や物理工学等にも秀でた者しか作れない。魔術を考案し、その結果を生む術式を考え、それに必要な各属性魔力量を推定、それに応じた数式をそれに組み込み、円盤に彫り込む。勿論ガリガリ実際彫るのではなく、魔力によって円盤に彫り刻むのだ。そして法具の窪みに各属性魔晶石を置き、盤を上にセットし、行使者が魔力を法具に発動し流し込む。法具が全体的に光り出すと発動開始、やがて魔術が発現する。




 長々と説明を加えたが、因みに今からディルクが使う魔術は通信術である。

 相手は仲の良い(?)竹馬の友とも言うべきジェラルドである。

 盤をセットし法具に魔力を流す。

 因みに法具に魔力は流すが、術を発現させるため術発動のスイッチとして流すだけなので、自身の魔力はほぼ使わない。とても体に優しい魔力節約が出来る法具なのだ。

 発動が始まると直ぐに手を離し、盤から術が発現するのを待つ。

 やがて目の前に陽炎(かげろう)が立ち、蜃気楼の様に目の前に別の部屋が出現した。

 州都アラベラにある、ジェラルドの邸宅の一室である。

「ぬ?奴め、どこへ行きよった。

 ……まさかもうオーウェンが到着したか?……いや、そんな筈は無い。流石に未だ到着はしておらぬだろう。

 チッ、面倒な。奴を探さねばならぬのか……。この時間は執務中だと言っておったに、嘘を吐きよって!

 ……ん?扉が開くか、奴が戻ってきおったか?」

 陽炎の向こうの部屋の扉が開いて、人が入って来た。ジェラルドである。

 扉から見て奥の壁面に置いている豪奢なチェストの上にある魔術法具の盤から通信術が発現しているのを見て、慌てて近寄り自身も盤をセットし魔力を流す。

 因みに相互通信の場合はどちらも法具を発動せねばならないが、片方が情報だけ流したい場合などは受け側は別に準備は要らない。法具に受け専用の盤をセットしておけば、勝手に発現し情報を渡し消える。アンテナだけ立てとけばOKなんである。

「どうしました、先生?通信術を使うなど。……まさか、又アレに何か有りましたか?!」

 とジェラルドが顔を強張らせて聞いてきた。

「違うわ。……ミラベルがな、少々参っておるんじゃよ。精神的にな。

 で、それについては貴様にも多大な責任があるからして、動いて貰おうと思うた次第じゃ。

 あの可愛い子が苦悩の余り泣く姿は見ておれんでの。

 ジェラルド、協力せい!」

 とディルクは鼻息荒く、ジェラルドに言い放つ。

 ジェラルドは眉を上げ、首をかしげて

「何ですと、ミラベルが?気丈なあの子が泣くなんて余程の事ですな……。

 因みにこれは勿論アレ絡みでしょう。結界を張ります、暫くそのままで……」

 と言い置くとジェラルドはお馴染みの闇性結界を張った。

 補足説明を付け加えると、単純な魔力行使に法具は使わない。例えば火の属性の所持者が火を出したりするのはイメージし、念じるだけで発動、発現が可能だ。ガルシアはこれを日常的に行っている。又複数の属性の所持者が各属性の魔力を掛け合わる、例えば何もないところで湯を沸かしたりする時は、水と火の属性を持っている者がイメージを膨らませそのイメージのまま魔力を発動、発現させる。

 但し単属性の魔力行使であっても練習は必要だし、複数属性の掛け合わせ魔力行使は更に練習を要する。又自身の魔力を使うので魔力保有量にも依るが、余り大きな魔力行使は出来ない。

 で、その魔力行使の際に自らの魔力の消耗を抑えるため、又不足する魔力量を補うために自然の魔力を蓄えた各属性の魔晶石が使われる。

 魔晶石もその属性の単純な魔力行使ならそのままイメージを作り、自身のイメージをそのまま魔力で魔晶石に反映させ発動、発現させれば良い。

 例として闇性結界や水性結界、後はクロエの急成長の際、口内を洗浄した水泡術が挙げられる。




 ともかくジェラルドは闇性結界を張り終えると、法具の側に戻ってきた。

 そして法具を持ち、自身の机に置くと椅子に座りディルクを見る。

「さて、お待たせしました。

 で、ミラベルが何故そのように参っているのか訳を聞かせてくださいますか、先生?」

 とジェラルドが聞く。

 ディルクは先だってからのミラベルの告白と、クロエの考えを要領よく話して聞かせた。

 ジェラルドは黙って聞いていたが、ディルクの話が終わると溜め息を吐きながら

「……子供達の心情にまで意識が及びませんでした。これは確かに我々の落ち度です。ミラベル……本当にすまない事をした。

 先生が居てくださって良かった。でなければ今頃ミラベルはどうなっていたことか。感謝しますぞ、先生。

 それにしても、クロエの考えには驚くな。先日のあの話はやはり本当なのですね。確かに子供の思考能力ではない。

 ……これがもし生まれた直後に解っていたなら、又違った守り方もあったやもしれぬ。その類い稀な知識と知恵、思考能力を駆使すれば、インフィオラーレで家族と過ごしながら守る方策も有り得たかも知れぬのに……っ!

 そうすればガルシア達に苦労を背負わせる事も無かった。

 今更どうしようもないが、だが口惜しい。周りに負担を強いて、後から自分達で何とか出来たかも知れないと解るとは……」

 と歯軋りしながら拳を握り締めるジェラルドに、ディルクは首を小さく横に振りながら

「いや、危険性は変わらぬじゃろう。クロエはやはり森に隠すが正解じゃったと儂は思う。

 あの子の場合、例え黒髪で無かったとしても周りが放っておかなかっただろう。そう思わざるを得ない不思議な力を持っておるんじゃ。

 その力は前の世界の時から有ったのかもしれぬ。クロエが話をした際に、少々言葉を濁した部分があった。前の世界の時には未だ顕在化していなかったのかもな。死んで初めて気付いたような話し振りであったのだ。

 それにあの前の世界の知識は知られてはならない。下手をすれば黒の乙女の事より、その知識で狙われる可能性がある。クロエは黒髪でなくとも、あの知識がある限りやはり匿わざるを得なかった筈。

 あの子がこの世界に現れてくれて儂は嬉しいが、あの子にとってこの世界は優しくは無い。可哀想だがな。

 ジェラルドよ。クロエは決して簡単には生きられぬ。市井(しせい)に混じり、ごく平凡で穏やかな人生を送らせてやりたくとも、無理なのかもしれない。

 ならば周りに負担を強いてでも守るしかあるまい。あの子が大事ならばな。

 差し迫ってはその負担を背負ってくれたミラベルへの対処じゃ。

 ぐちゃぐちゃ嘆く前に、やるべき事をやるのが先決であろうが!」

 と活を入れる。

 ジェラルドは深く息を吸うと頭を振り

 「そうですね。仰る通りです。詮無い事を申しました。

 では、今私がすべき事を指示ください。何をすれば良いのでしょう。早速取り掛かります」

 とディルクに指示を仰ぐ。

 ディルクはフンッと鼻を鳴らし

 「全く。貴様の愚痴を聞くつもりなど儂には更々無いのに、無駄に付き合わせおってからに。まあエエわ。貸しにしておいてやる。

 指示する前に確認したいことがある。

 オーウェンは今どの辺りにおるんじゃ?」

 とジェラルドに尋ねる。

 ジェラルドは手を顎に当てて考えながら

 「恐らく一両日の間には着くかと。

 しかし強行軍でしたので暫くは邸で静養させ、護衛などの体制が整い次第、視察に向かいたいと思いますが、なにか?」

 とディルクを探るように答える。

 ディルクが腕組みし、フムと頷くと

 「なあに、難しい話では無い。今から言うものを用意してもらうだけじゃ。後はそれを早馬で森まで届けさせろ。

 では、話すぞ。貴様に頼みたいのは………」

 とジェラルドに説明を加え、指示をする。

 ジェラルドは頷くと

 「わかりました。単純ですが、一番良い方法ですな。異論はありません。

 では用意が出来次第、早馬で森まで届けます。暫しの猶予を頂きます」

 と請け負った。

 ディルクは皮肉気な微笑を浮かべ

 「フンッ。なるべく早くせよ。

 ではな」

 と言って、術を解いた。




 ジェラルドは椅子にドカッと持たれると手で目を覆い、暫く動かなかった。

次話は明日か明後日投稿します。

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