表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/165

【07-06】

「ありがとう。撫子さんは、やっぱりいい人だね」

「あ、阿呆言いな。アンタに絆されたんとちゃうからな」

 

 ふんっと鼻を鳴らす。

 

「で、ウチらに何をして欲しいんや。『ハルベルデ』は桔梗の名前とウチの美貌でくっついてる集団や。結束は脆い。実際、荒事に耐えられるのは桔梗忍者隊しかおれへん」

「その忍者隊の力を貸して欲しいんだ」

「忍者隊は俺を含めて二十人。武装風紀委員を擁する生徒会とぶつかるには分が悪いな」

「大丈夫。正面切って戦う気なんてないから。プランは……」

 

 昨日、凛華達と立てた計画を説明する。

 

「なるほど、手はそれしかないかも知れへんな。せやけど、この子にできるんか?」

 

 撫子がちらりとまろみの方を見る。

 

「大丈夫。僕がまろみたんを支えるから」

「しゃあないな。その根拠のない自信に賭けたる」

 

 春乃の穏やかな笑顔に、ついつられて撫子の口元が綻んだ。

 

「決行は明日の放課後やな。ウチらはウチらの担当をこなしたるさかい」

「じゃあ、よろしくお願いします」

「あの、よろしくお願いします」

 

 最後に深々と頭を下げると、二人が部屋を後にする。

 

 騒がしく過ぎ去った朝の時間。

 撫子はふうっと息をついて湯飲みを口に運んだ。

 

「なんでやろな?」

 

 不意に問う。

 

「どう考えても勝ち目の薄い戦いや。せやのに、あの二人には悲壮感の欠片もあらへん。希望だけが見えてるみたいや。なんでやろ?」

「さあ、俺には解らないな」

「阿呆やからかな?」

「そうかもしれないな」

「せやな。阿呆やからやな。それが一番しっくりくるわ」

 

 自身を納得させるように頷いた。

 

「ウチらも、ちょっとくらい阿呆に生きてもいいんやろか」

「姫が望むなら、それもいいんじゃないか」

 

 萩人らしい返事に、ふふっと笑う。

 

「ところでな、学区でその呼び方はあかん言うてるやろ」

 

 ぎろりと睨みつけた。

 

 

                    ※ ※ ※

 

 

 まろみと春乃が撫子の部屋を訪れてから、半日が過ぎた放課後。

 

 執務室のまろみに凛華が奇妙なニュースを報告した。

 

「余の偽者だと?」

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ