5話
爆発音がした。それは始業式が終わりユーリッヒ博士に会いに研究室までレルカ先生とユキと移動中だった。
「爆撃か?わからないが、敵襲に備えろ!」
緊急事態にも関わらず先生は落ち着いている。けたたましい音と共に警報が鳴り始めた。学校に何者か侵入者がいるということだ。さっきの爆発音はそのせいだろう。
警報ちょっと遅くないか?と樹人は心のなかで苦笑した。ユキにもらった指輪に魔力を送り、剣の形にし、戦いに備える。ユキも隣で同じようにしていた。
「ほう、素晴らしい。あとでじっくり見せてくれ。」
たしかにこの指輪はすごいが、先生に自慢している暇はない。今は奇襲に気をつけながら広場に向かう。広場に向かえば見晴らしが良いので、襲われづらく、守りやすい。
緊急事態は先生も生徒もそこへ向かうことになっている。学校の警備員を途中で見つけたので、今の状況を聞くと、現在の場所から広場を挟んだ反対側でどうやら武器庫が襲われているらしい。
練習用の剣や槍などももちろんあるが、重要なのは先生たちの武器や魔道具などである。学校の武器庫はセキュリティが高いのでそこに預けている先生も少なくはない。ただし、一番いい武装は常に所持しているので、預けることはない。
「私は外へまわり、武器庫へ向かう。お前らは警備員と共に広場に行け。」
「はい。」
名前も知らない警備員と共に広場へ向かうことになった。この人が侵入者一味な可能性もあるのでは無いかと思ったが、先生が僕達を任せたということは侵入者でないという確信があるのだろう。
「私の名前はラルです。広場への短い間ですがよろしく。」
中肉中背と言ったくらいの体型で、髪は黒く、短い。顔は優しそうだが、油断のなさそうな表情をしている。佩刀していないので魔法使いか。魔法で剣を召喚して戦う剣士も少なくないので、断定はできないが多くはないので魔法使いと見ていいだろう。
「はい。急ぎましょう。」
学校の敷地は広く、広場まで走っても10分はかかるだろう。だが、襲われているのは敷地の真反対。
ここからでは20分ほどかかる計算だ。安全だと高を括って気を抜くことはできないが、そこまで緊張することはないだろう。
5分ほど走った時だった。ばたっという音とともに後ろを振り返ると、ラルを音もなく無力化し、派手な男が立っていた。
「石ひろってるだろ。それをだせ。」
その石が学校に侵入するまで貴重ということか、簡単に渡してやることもないのでユキと目を合わせ、派手な男に対して剣を構えた。




