届かないメッセージ
拝啓 大先生様
あれから何年が経ったでしょう。先生は私をよくお子様と言いましたが、そんなの似合わないくらいの歳になりました。それでもあなたは私をお子様と言うのでしょうね。
何度もメッセージを送りました。それでも返事を返してはくれませんでしたね。私のメッセージ、読んでいてくれましたか?メッセージだけではなく、いわゆる文も書いてみました。馬鹿ですね、住所や郵便番号なんて、知りもしないのに。
顔も名前も、性別さえも確信できないまま、たぶん私はあなたに恋をしていました。不思議ですね、メッセージを書くことをやめた今でも、あの頃が鮮やかに甦ってきて参ります。鮮やかと言っても、液晶画面を睨んでいただけの景色なのですが。
先生は言うだけ言って、自分だけ満足して消えてしまいました。ふざけんなと何度思ったことか。
それでも、最後に残された
“ケントウ ヲ イノル”の文字。
この文字に何度救われたか。
私はなかなか健闘しましたよ。今ではね、先生なんか目じゃないほど物凄い小説家になりました。ざまぁみろ。
でも本当は、いつまでもあなたの背中を追いかけていたかったんですよ。あの憎まれ口を聞きたくて、SMプレイにハマったりしました。冗談です。ああ、なんだか先生に似てきたような気がする。最悪ですね。
こんなことが言いたい訳じゃないんです。ただ、一応は感謝しているんですよってことと、それと、ずっと待ってますからねと。
あなたはあんなことを言っていたけど、もしかしたらちゃっかり私よりも先に小説家になっていたんじゃないかっていつも探しています。小説家は嘘が好きだから。
それでもまだ、あなたと同じ小説を書く人は見つかりません。
泥棒、もとい先生と同じ物書きより
『拝啓』終了です。
小説家になろうさまへ感謝をこめて。え?いや本当ですよ。いつも感謝しております。
雰囲気小説ですので、どうとっていただいても構いません。




