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二、それでも僕は勇者です!

■ お気に入り登録をしてくださった三名の方、ありがとうございます。

  心よりお礼申し上げます。


「ウララちゃーん!」


 僕は居なくなったウララちゃんを探して森の中を走り回りました。

 もちろん森の中はイノシシだらけで、何頭ものイノシシが僕に向かって襲い掛かってきます。

「このッ!」

 僕は見習いの剣を構えてイノシシに突撃しました。

 敵うはずがないんです。

 だって僕はスライムごときで苦戦するくらいの力でしかないんだから。

 イノシシに体当たりされて、僕は大きく吹っ飛びました。

 樹にぶつかり、地面に倒れても。

 僕は立ち上がって見習いの剣を構えます。

「邪魔するな! 僕はウララちゃんを探しているんだ!」

 きっと彼女のことだ。道に迷ってどこかで泣いているに違いない。

 イノシシは前足で地面を掻いていました。また体当たりしてくるつもりです。

「退けよ! あっちに行け!」

 脅しの効果はきいていません。

 イノシシが突進してきました。

 僕は雄たけびをあげながら剣を振りかぶって突撃しました。


 剣は弾かれ、僕はまた吹っ飛びました。


 そんな時です。

「ヨーイチ、剣ってのはこう扱うんや」

 グランツェが僕と入れ替わるようにしてイノシシに攻撃しました。

 一撃必殺。

 大剣を一振りで、グランツェはイノシシを倒しました。

「グランツェ!」

 僕は驚きと嬉しさに地面から飛び起きました。

 グランツェは見る間にイノシシを一掃していきます。

「ええか、ヨーイチ。剣はチャンバラやない。技や」

「ぎ?」

「木の棒みたくポカスカと叩き合うんやなく、俺みたいに技でキメるんや」

 言葉と同時にグランツェはまた一振りしてイノシシを倒しました。

 僕は自分の持つ見習いの剣を見つめました。


 するとどこから女の子の悲鳴が聞こえてきます。


 僕はハッとして叫びました。

「ウララちゃん!」

「行けや、ヨーイチ。援護はしてやるから周囲なんて気にせず走れ」

 僕は見習いの剣を握り締めました。

「わかった」

 グランツェの言う通りに、周囲なんて気にせず走りました。

 そしてその先に、ウララちゃんを見つけました。

 彼女がイノシシの攻撃を受けています。

 僕は見習いの剣を構えて雄たけびをあげながら、そのイノシシに突撃しました。

 見よう見まねで一振りします。

 倒すことはできなかったけど、何とかダメージを与えることができました。

 僕はウララちゃんを守るようにして背にかばいます。

「大丈夫? ウララちゃん」

「ヤマダさん!」

 後ろからウララちゃんが抱きついてきました。

 相当怖かったのでしょう。彼女は震えていました。

 グランツェがイノシシを一頭倒して叫んできます。

「ヨーイチ! すぐに持っている誘きエサを捨てるんや!」

 森にただならぬ気配を感じました。

「キング・オオイノシシや!」

 グランツェの言葉とともにキング・オオイノシシが姿を現しました。

 僕は急いで持っていた誘きエサを遠くに投げました。

 そして、

「行こう、ウララちゃん」

「はい」

 僕はウララちゃんの手を取り、グランツェとともにその場から逃げました。


 エサは捨ててしまったので、キング・オオイノシシが僕らを追いかけてくることはありませんでした。


 その後、クレイシスさん達とも合流することができ、キング・オオイノシシを一頭倒したことを聞きました。

 第二試験は何とか合格のようです。



 ◆


「──僕だけ追試?」

 学校に戻った僕は、カルロウ教師に第二試験の結果を報告しました。が、

「なぜ僕だけ追試なんですか?」

「山田。お前は何頭イノシシを倒すことができた?」

「…………」

 そういえば、僕は一頭も倒していません。

「ウララでさえ一頭は倒しているんだぞ?」

 あー、そうだったんですか。

「追試として【水色スライム十匹討伐】を、お前一人でやって来い」


 その日の放課後。

 僕は泣きながら一人で、スライム十匹を討伐しました。


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