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二、野生の動物にエサを与えないでください。

■ お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます。

  心からお礼申し上げます。



 ※ 【第二試験】 キング・オオイノシシ、討伐。



 はい。僕は今、五人の仲間とタカタカ森に来ています。

 森の中はイノシシだらけでした。

 キング・オオイノシシはどこにいるのでしょう?


 あ、そうだ。ちなみに代理人は討伐の仲間として認められないので、エメリアさんはここに居ません。

 そういうことで、リクさんはちゃんとチームの一員として参加してくれました。

 ありがとうございます。

 僕が礼を言うと、リクさんは素っ気無くこう言いました。

「貸し、一つだから」

 酷すぎます、リクさん。

 


「で、どーするんや? ヨーイチ。片っ端から退治していくか?」

 グランツェが攻撃態勢に入ります。

「待って。効率良くやっていこう」

 僕は仲間に待ったをかけました。

 今回みんなバラバラではなく、ちゃんと僕の指示を待ってくれています。

 僕は緊張に胸を高ぶらせながら、作戦を言いました。

「みんなの力は確かに強い。でもいくら強くたって体力に限界がある。山岳イノシシや暴れイノシシを片っ端から相手にしていたら、いざキング・オオイノシシが出てきた時にチーム一丸となっての攻撃が難しくなる。だから、温存しながら効率良く戦おう」

 なんか僕、今スゲーかっこいいことを言ったと思う。なぜならみんな、僕よりすごく強い人達だからだ。その人達が僕の作戦を素直に聞き入れてくれている。僕ってまるで勇者みたいだ。

「なるほどな」

 クレイシスさんが感心してくれました。

「さすが勇者志願者やな、ヨーイチ」

 グランツェまで。

 リクさんが魔弾銃を手に行動を開始します。

「じゃぁ私はあの小高い山から援護する」

 ラウル君が指の関節をパキパキ鳴らしながら先頭に進み出ます。

「じゃぁボクが右をやるね」

 ──え?

「じゃ俺は左な」

 あ、あれ? ちょっと待って。

「左はオレだ、イカレ剣士。お前は右斜めを行け」

「右斜めってどこや! 左は譲らん! てめぇが右斜めに行けや!」

「早い者勝ちだ」

「なんやと!」

「ちょっと待って!」

 僕はみんなを止めましたが、誰も聞いてくれません。

 唯一残ったのはウララちゃんだけでした。それ以外は全員、敵に攻撃を始めています。

 ウララちゃんが僕の手を握り締めて言いました。

「さぁ、行ってくださいヤマダさん」

「は?」

「雑魚はこちらで引き受けます。ヤマダさんは早く手持ちの誘いエサでキング・オオイノシシを見つけ出してください」

「ちょっと待って」

「あなたの勇気に感動しました。わたし達はあなたを援護します。だからヤマダさんは何も気にせず、キング・オオイノシシをここまで誘い出してください」

 その言葉を残し、ウララちゃんも戦いを始めてしまいました。

 

 勇者。それは勇気ある者。


 僕はアイテム袋の中に入れていたキング・オオイノシシの誘いエサを取り出しました。

 これから一人でキング・オオイノシシをここまで誘い出して来なければなりません。

 でもこれって、絶対みんなやりたくなかったやつだよね?

 これの係りになる人はジャンケンで平等に決めようって、そう決めていたはずだよね……?

 上手い具合に押し付けられた気がする。

 

 僕は泣きながら森の中を走った。

 自らエサとなって。 

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