一、冒険だっつってんだろ!
■ ご評価くださりありがとうございました。
深くお礼申し上げます。
僕の仲間だろうと思われる五人を紹介します。
まずは彼、初等部剣士科に所属しています一年生で同じ年の幼馴染み──グランツェです。
剣の腕はとても優秀です。
連絡プリントを渡していたにも関わらず、彼は普通に教室にいました。
「お? ヨーイチ。どうしたんや、その格好」
「連絡プリント見てくれた?」
「あー、あれか。見た見た。何するんや?」
「僕のこの格好見て、わからないかな?」
仲間を一人、確保しました。
次に彼、初等部魔法科に所属しています一年生で同じ年のクレイシスという人です。
彼は魔法の天才です。先生もびっくりするほどのすごい魔法を平然と使ったりします。なぜこの学校に入学してきたのか意味不明です。誰も理由を知りません。
連絡プリントを渡していたにも関わらず、彼も教室にいました。
「……何の用?」
「いや、あの。昨日渡した連絡プリント、見てくれたのかなって思ってさ」
補足として、無口で無愛想で怖い人です。そして極めつけはグランツェととても仲が悪いです。
「よぉ、魔法使い。相変わらずムスッとした顔してんな」
「あぁ思い出した。あの時のイカレ剣士か。暇潰しに喧嘩でも売りに来たのか?」
「なんやと、てめぇ。やる気か?」
「ちょっとストップ! 違うから。ほんとマジで、お願いだから二人とも喧嘩しないで」
仲間をまた一人、確保しました。
次は彼女、初等部召喚科に所属しています一年生で同じ年のウララちゃんです。
召喚の腕はまだまだですが、学校のアイドルとして男子にとても人気のある、かわい娘ちゃんです。
髪はおさげで眼鏡もかけていて、性格も大人しく、大変なドジっ娘です。
まぁ、だからじゃないけど。連絡プリントを渡していたにも関わらず、彼女も教室にいました。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「い、いや、もういいよウララちゃん。僕もちゃんと迎えに行かなかったのが悪いし」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「いや、だからもういいって。ウララちゃん」
彼女が謝る理由。それは極度の方向オンチ。どうやら冒険には送迎バスが必要のようです。
三人目の仲間を確保しました。
次に彼女、初等部狙撃科に所属しています一年生で同じ年のリクさんです。
狙撃の腕は名人並です。
髪はショート・カットで、性格は大変サバサバでツンケンとしています。
連絡プリントを渡したにも関わらず、彼女はなぜか屋上で魔弾銃を構え、数十キロ先の魔物を捕捉中でした。
「連絡プリント?」
「う、うん。見てくれたかなと思って」
「知らない」
「そ、そうですか……」
対応に困っていた僕との仲介に出て来てくれたのはクレイシスさんでした。
ちなみに、この二人は兄妹です。
「リク」
「何? 兄さん」
「学校長との約束だっただろう? 山田洋一という人物を一人前の勇者にしろ、と」
「兄さんはどうするつもり?」
「オレは従う」
「じゃぁ私も従う」
はい。四人目確保しましたー。
最後に……えーっと。彼、でいいのかな?
初等部格闘科に所属しています一年生で同じ年のラウル君です。
彼はなぜか音楽室でリコーダーを吹いていました。
ただ今絶賛女装中です。これも敵をあざむくための演技なんだそうなんですけど……
「あの……すごくしっくり似合ってますね。普通に女子生徒に見えるんですけど」
「ありがとうございます」
長いストレートの黒髪。声変わりしていない声音。まるでおとぎ話から出てきたお姫様みたいな、やんわりとした雰囲気の彼だった。
「えっと、連絡プリントのことで来たんだけど、昨日渡したやつ見てくれた?」
「えぇ。世界チャンピオンを決める格闘大会に出場できること、とても嬉しく思います」
「違います。あの……魔物退治の意味、わかっています?」
「ですから、格闘試合のことでしょう?」
「僕のこの格好見て、わからないかな?」
「あ、そういう意味だったの。気付かなくてごめんなさい」
はい。これで全員確保できましたぁー、先生。