三、旅立ちだって言ってんだろ!
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心からお礼申し上げます。
とりあえず。
まずは捜しやすそうな仲間を順番に確保していきます。
そんな時です。
駅内に案内を知らせる音色が流れました。
『迷子のお知らせをいたします』
はい。さっそく一人確保しました。
「ごめんなさい、ヤマダさん」
「いいよ。気にしなくて。──それよりみんながどこにいるか知らないかな?」
尋ねると、ウララちゃんは元気なく俯いて首を横に振りました。
僕はハハと笑って謝る。
「そうだよね。ごめん。じゃぁ二人で一緒に探そう」
そう言って、僕はごく自然な仕草でウララちゃんの手を取った。その時、
「ひゃぁっ!」
「え?」
急にウララちゃんが悲鳴を上げて僕の手を激しく手を振り解きました。
そんなに僕と手を握るのが嫌だったのだろうか。
僕は内心ものすごくショックを受けながらも平常心を装い、また謝る。
「ご……ごめん」
「……」
ウララちゃんは僕に触られた手を胸に抱き、真っ赤な顔で黙って俯いていく。
え? これってもしかして、恋──
「セクハラね」
僕の背後から冷めた口調でリクさんが言ってきました。
「って、うおっ!」
僕は遅らせながら驚きの反応を返した。
「いつから居たんですか? リクさん」
「ずっとよ。あなたに気配を悟られるようじゃ狙撃者としての自信をなくすわ」
それって新手のストーカーですか?
はい。二人目確保しましたー。
僕とリクさんとウララちゃんは次なる仲間を捜して、駅内の売店をウロウロしていました。
すると、
「あ! ヤマダ君だ。それにリクたんもウララちゃんも一緒だー」
売店から大量の駅弁を買い込んだラウル君が嬉しそうに手を振ります。
いやいや何事ですか、ラウル君。
「ら、ラウル君。そ、その弁当……」
恐る恐る僕が大量の弁当を指差すと、ラウル君はかわいく「きゃは」と笑って、
「買い占めちゃった。全部」
「か、かい……買い占め」
「そ。お店の弁当全部買い占めちゃった。一応五十四人分あるみたいだから、みんなの分もあると思う」
充分だと思います。
ふと、ラウル君の後ろの売店からクレイシスさんも出てきました。
何やらラッピングされた箱を大事そうに持っています。
僕は恐る恐る声を掛けてみました。
「あ、あの、クレイシスさん?」
「なんだ?」
「それ、なんですか?」
「これか? オセロゲームとやらが売られていたから思わず買ってみた」
いやいや何事ですか、クレイシスさんまで。
「あ、あの……クレイシスさん。僕達これからゴブリン退治に行くんですよ? わ、わかっていますよね?」
「オセロで世界征服も悪くない」
「…………」
真顔でそう返されてしまいました。
はい。二人まとめて確保です。
最後はグランツェです。
さて彼はいったいどこへ行ったのでしょう?
「ヨーイチ!」
改札口からグランツェが手を振ってこちらに走ってきます。
しかもすごく爽やかな笑顔です。
グランツェは言いました。
「さっきそこでトランプ売ってたから買ったんやー! 次はトランプで勝負やー!」