5 雨中の見習い魔女(1)
アデーレとレオーネ様の小競り合いから1ヶ月が経った。
その間、高校に入学した。元々高校には通う予定はなかった。整魔師を目指し中学生活を棒に振った僕は勉強は最低限しかできないし。友達関係なんて築けていない。そんな僕が高校生活をマトモに送れるはずなど無いと決めつけていたのだが。
魔女協会から良い学校を紹介された。
魔女と言う人類の護り手を纏める魔女協会は、社会的地位はかなり高いものとされている。当然、魔女協会に属する魔女達も社会的地位は高い。ただし、魔女ランキング上位に限るが…
そんなこんなでコネ入学した高校へと通える様になった僕は、現在下校中にゲリラ豪雨に襲われていた。
学校近くの喫茶店の軒下へと避難した僕は隣に先客がいる事に気がつく。
同じ学校の制服に身を包む女子生徒。そんな彼女を僕は注視した。
彼女が僕の視線に気がつき、怪訝な顔をした。
僕の視線にいやらしいモノでも感じたのか一歩距離を取り、カバンを胸元で強く抱いた。
彼女の制服は濡れては居るものの、シャツが透ける程ではない。だからと言って彼女が自意識過剰と言い切れない。男性の視線と言うモノは女性にとっては怖いものであるからだ。
僕は少し反省して彼女へと話しかけた。
「えっと…同じ学校の人だよね?」
「…」
僕の問いに無言でキツイ視線を返す彼女に、僕は苦笑で返した。
「魔法科の人?」
「ッ!?」
僕が学ぶ学科を当てた事に彼女は大きく目を見開き驚く。
この時代では高校で学ぶ学科は大きく分けて二つある。魔法科か一般科。
将来、魔法関連に進みたいなら魔法科。それ以外なら一般科である。
魔法科では、整魔、魔女、騎士、魔技、の四つから一つ選び専攻する。
魔女は男性より多い魔力で魔法で戦う女性が成る職業。
騎士は魔力が弱い男性でも戦う意識があるなら成る事が出来る職業。
整魔は魔力を使う彼女、彼らの魔力に以上が出る前に正常に整える職業。
最後に魔技は、魔法の技術を探究する職業。魔女ほ杖などを開発する職業である。
そんな将来に向けて学ぶのが魔法科なのだ。
ちなみに僕は一般科でお勉強に集中している。
話は戻るが、なぜ僕が彼女が魔法科の生徒なのか分かったのかだが…
僕は彼女へ大股で近づき手首を掴んだ。
「なんで魔法科ってバレたのか気になったでしょ?」
そう言うと僕は彼女の手首を持ち上げて言う。
「君の身体からは魔力光が漏れているからだよ」
彼女の手から薄い魔力光が漏れていた。服を着ていたらわからない程に皮膚の表面に薄っすらと。
近くで見ても気がつけない程に淡く光る魔力。
ゲリラ豪雨で暗くなったお陰で彼女の異変に気がつけた。もし、教室のような一定の明るさが保たれている場所なら気がつかなかっただろう。
「だから?何って言うの!」
力任せに腕を振り手を振り払う。そんな彼女へと厳しい視線を送り僕は言った。
「それは魔力不全の兆候なんだ。魔法科で習っているはずでしょ?なんで放置してんのさ?」
彼女は苛立ちを隠さずに口調に乗せて言う。
「なに?まさか整魔師志望のだからって偉そうに説教?ウザッ…」
ハァ。僕はため息を吐きながら彼女へと呆れた視線を向けた。
「僕は一般科だし、整魔師志望でもない」
そう言ってカバンから財布を取り出し、そこから1枚のカードの様な物を取り出す。
「僕は正式な整魔師だよ」
整魔師免許証を見せると彼女があんぐりと口を広げて驚いた。




