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4 深海の魔女と炎獅子の魔女



 魔女の魔法が飛び交う応接室。家具は灰に変わるか、焼け焦げているかの違いしかなかった。


 レオーネ様から放たれた魔法は床や天井を焦がしていく。唯一無傷なのはアデーレから後ろの床や天井。そして、僕。


 レオーネ様から火球放たれ、それをアデーレが水の盾で防ぐ。そんな攻防が繰り返される。火球が防がれるたびに火球の数が増え、時に火力が上がる。


 それを防ぐアデーレも防戦一方とはいかない。隙あらば水の槍を繰り出し反撃する。だけど、アデーレの水の槍はレオーネ様に直撃する寸前で蒸発して消えてしまう。


 まるで、熱した金属に水滴が触れている様だった。


 ジュッと、蒸発音が聞こえたと思えば先ほどより苛烈な攻撃をレオーネ様がしてくる。


 その度にアデーレの反撃の機会減り、防戦へと集中させられていた。


 水の壁がボコボコと沸騰する音が嫌に耳につく。


 最初は気にならなかったのに、アデーレが押される度に増える水の壁が沸騰する音。それがタイムリミットまでのカウントダウンの様に思えてしまう。


 防戦一方のアデーレは弱いわけではない。けしてレオーネ様に劣ることなどない魔女だ。そんなアデーレがなぜ防戦へと追い込まれているのか、僕はその原因をわかっている。


 疲れの差である。


 アデーレはここに帰ってくる前は魔女の仕事で大陸でモンスターと戦っていた。その後に急いで帰ってきた。そんな状態でレオーネ様との戦闘を強要されている。そんなアデーレに対しレオーネは整魔により魔力の調子を整えられている。万全な状態であるのだ。


 同格相手にこれだけの差があればアデーレが押されていても不思議ではない。


 魔女協会へと連絡をしたスマホへと強く力が入る。何もできない自分がもどかしくて嫌になる。


 火球の数が17を超えた頃に戦況は変わった。


 先ほどまで喰らいついていたアデーレだったが、火球の一つが水の盾を撃ち破った。


 「ッ!」


 アデーレは驚き、慌てて新たな水の盾を生成する。が、それを引き金に次々と火球が水の盾を破る。


 魔法の発動から適切な魔力コントロールが間に合っていない。急ぐ余りにアデーレは水の盾への魔力調整がうまくいっていなかった。


 火球はアデーレに当たる前に新たな水の盾に防がれるが、その分、新たな火球への対象が遅れていく。


 「くっ、」


 「おいおい、もう限界なのかぁ?」


 苦し気な声を漏らすアデーレに対し、レオーネ様は余裕の笑みを顔に浮かべ、攻勢を強めた。


 次々と迫り来る火球にアデーレの対処が間に合わない。遂に火球が全ての盾をすり抜けアデーレへと迫る。


 アデーレも被弾を覚悟した瞬間。


 火球が真っ二つに斬られ霧散する。


 「アッ?」


 先ほどまで機嫌よく笑っていたレオーネ様からドスの効いた声が漏れた。


 僕は魔法が飛んで来た後方へと顔を向ける。


 そこに居たのは、数人の魔女と魔女協会の職員だった。


 「双方、魔法の行使はここまでにしてもらいたい」


 職員が眼鏡をクイッと上げながら手を突きだし制止する。


 レオーネ様はつまらなそうな顔で舌打ちを吐き魔法を解除した。それに合わせる様にアデーレも魔法を解除する。


 職員と他の魔女介入によりどうにか怪我人を出さずにこの場を収まった事に、安堵のため息を吐く僕に職員は近づいて来て耳打ちをしてきた。


 「あの…言いづらいですが、その。今回のことは…」


 ゴニョゴニョと歯切れの悪い言葉で職員は「今回の事に目をつぶれ」と言ってきた。その代わり今回の損害や報酬に色を付ると言ったので了承した。

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