98 お持ち帰りコースとは?
お持ち帰りコースの意味を知っている方、馬場さんと同じく腐女子、腐男子の腐っている方々、ニヤニヤしないように頑張りながら読んでください。
「おはよう。」
教室のドアを塞いでしまっていたから後ろから存在を知らせるように声をかけられた。
振り返ると、特徴のあるほんのり染まった白い髪。赤紫色の目が視界に入った。
「安藤さん。」
「おはよう。入口塞がないで。」
安藤さんは少し機嫌が悪いようだった。
「おはよう。鬼桜くん。なんか怒ってる?」
「………………。」
佐藤も声をかけたが安藤さんは無視。
そのまま教室に入ってく。
すると教室で固まっている腐女子の群れが見えたのか一度ため息をついた。
腐女子たちは妄想が止まらないようでニヤニヤを通し越して気持ち悪い……も、通り越してもはや怖い、まである。
「佐藤……お前な……。」
安藤さんがわなわなした状態で話し出す。怒ってるな。これは完全に。
「ゲームセンターで取った景品! 全ッ部俺に持ち帰らせやがってェ!! 言われた通り家の前に置いといてやったよ!! お礼の一言もなしかァ!!!」
安藤さんは佐藤を指さして怒る。
怒りたくなる気持ちはわかる。これは佐藤が悪いな。
「ああ、ありがとう。」
軽い。
最初から最後まで軽い。
その後、安藤さんが怒りが収まるまで、数分かかった。
「けーすけくーん。」
「……馬場。……言っとくが、俺はお前の妄想に付き合ってる時間は……。」
「昨日のデート、二人は手を繋ぐでもキスでもお持ち帰りコースでもなく、手を掴むだったんですって。」
「……馬場。二次元の奴で妄想するのは大いに構わない。でも三次元の奴に『お持ち帰りコース』を期待するのはどうかと思う……。」
ニヤニヤしながら言う馬場さんに、安藤さんは眉をひそめて返事をする。
ところで『お持ち帰りコース』とは何だ?
「安藤さん。お持ち帰りコースって何?」
「知らない方がいいと思う。うん。……『手を掴む』で思い浮かぶのは馬場の中ではほぼ一択だから。」
安藤さんは無表情に近い顔の状態で真面目に言っていた。
知らないなら一生知らない方がいい……とでも言いたそうだ。
だが、佐藤は僕の後ろで無言のまま何かを察した顔をしていた。
「陸。この話はもう終わりにしよう。」
佐藤が僕の隣に歩いてきて肩に手を乗せ、安藤さんと同じような顔で止めるようにしていた。
こちらも、知らないなら一生知らない方がいい……知った後で、忘れることはできないから……とでも思っていそうだった。
知らないのは僕だけなのか……。
ニヤニヤしましたか?
作「キモイ。」
ヒドイ。
ナ「シンラツ。」
白「またナレーターさんがキキ側についてるよ。」
ナ「そう? 俺は中立してるつもりだけど、それは出来なかったのかな?」
どうなんだろう?