93 上目遣いとイケメンの最強コンボ
まずい……私も倒れる……。
作「なら書くな。」
それは無理。
僕は注文の品を目の前にし、目をキラキラさせて目の前に並ぶ抹茶パフェとショコラケーキを見ていた。
そんな僕の前に座る佐藤は、机に頬杖を突き、呆れたようにこちらを見ている。
「あの……もう食べていい……?」
そう聞いてくる佐藤の声で我に返り、ごめんと謝って佐藤の前に抹茶パフェを返す。
佐藤は苦笑いを浮かべつつ、陸も食べなよ、と言ってショコラケーキをフォークで一口大に切り、僕の前に持ってくる。
「あー。」
「あー? ……ムグッ。」
少々上目遣いの佐藤につられてあーと言ったら口にケーキを突っ込まれた。
この上目遣いは無自覚だと信じてる。
「……おいしい……ッ!」
おいしすぎる。
すると佐藤が「フッ」と笑う。
「でしょ?」
「………………うん……。」
笑顔が眩しい。
ここにいるのが女子であれば、間違いなく落ちているだろう。
……今なら……安藤さんが写真を撮って女子に売りたがっていた気持ちが分かる気がする……。
「……おいしいねぇ……。一生忘れたくないこの味。」
「そうだね。」
先に写真撮ればよかった……。
ケーキの事でもあるけど、もちろん佐藤を含めた全部……。
「はい。あー。」
「あー。……うん? ムグッ。……苦ッ」
ボーっと考え事をしていたせいで佐藤にまた口に食べ物を入れられてしまった。
しかも今回は佐藤の抹茶パフェ。
「苦い……。」
「でしょ?」
佐藤は笑うが、苦いの返事ででしょはおかしいって!
クスクスと笑う佐藤の美しさに何でも許してしまいそうになる。
(このイケメンが~!!)
顔が赤い……と、思う。本当に何なんだよぉ!!
言いたいことがあるならさっさと言ってくれ。これ以上は僕が持たないから……!
「カフェもいいね。」
「……うん。」
いまさらだけど、こなきゃよかったと後悔しています。
今はまだ、軽い後悔の気持ちだ。今はまだ。
そう……――
――後に、このデートに来なければよかったと本気で後悔するとは知らずに――
「……疲れた……。いや、疲れる……。」
「何か言った?」(圧)
「……何も。」
こんな時でも笑っている佐藤、キミが怖いよ!
「フフッ、怖いって思ったでしょ?」
そんなとこが怖いんだよ! ……恐怖心を抱えたままだとケーキの味が感じられなくなるだろ!
……まあいい。ケーキに罪はない。
僕はケーキにかぶりつく。
一口ごとに目を見開いて味わいたくなるほどおいしい。どう作ればこうなるんだ?
レシピを教えてくれないだろうか……。
「……何見てるの? 佐藤、パフェ食べなよ?」
「ん? 連れてきてよかったなぁって。」
「……そう。」
呆れだ。呆れしか感じられないけど……。
僕に、佐藤の気持ちは分からない。
白「私にも、佐藤くんの気持ちは分からないな。」
ナ「でも今日こそ! 萌え萌えキュンの再チャレンジの時!」
ダメだよ?(即答)
作「えぇー!!」
もしかして作者もナレちゃん側?
作「うん。」
うっわ。私が不利すぎるこの状況。
ナ「なんでダメなん?」
今デート中ってわからないの?
白「確かにそうだ……。デートじゃまされるのは嫌だよね……。」
ナ「そう? 俺にはわからないその気持ち。」
だろうねってだけだね。




