90 出禁の代償
90かぁ……。早いなぁ……。
こうしてやってきたショッピングモール。
そして、今いるのはゲームセンターだ。
「あー落ちるな落ちるな落ちるな、あー!」
「もうやめたら? ここに幾らかけるの?」
「もう千円かけた。ここまで来たら取りたい。」
「もうやめなよ……。」
「あーもう! 別のにする!」
数分後・・・
「重い……。」
「さすがにとりすぎちゃった……。」
「出禁くらったからね!?」
僕らは両手にいっぱいのぬいぐるみを抱えて歩いていた。
通りすがりの子供に「スッゲー! 俺も欲しい!」と言われた。欲しけりゃくれてやる。
「どうすんのさこれ。」
「ゲームセンターに返そうかな……。」
それがいい……。それが最善だ……。
「はぁ……。あとでアイスでも食べようと思ってたのに、食べれなくなっちゃったよ……。」
「だろうね。」
あの数分間で出禁くらうほど取れるなんてもはや才能以外の何物でもないよ……。
「あ、そうだ。本屋寄りたいなぁ。」
僕は兄さんに、ついでに漫画買ってきてよ、と頼まれたのを思い出す。
漫画くらいならカバンに入るだろう。
「まあ……そのくらいならいいんじゃない?」
「言っておくけど、ぬいぐるみは佐藤が持ってね?」
そう釘を刺すと「……わかってるよ……。」と返ってきた。
本屋に行き、目当ての漫画を探す。
最近はここの本屋まで来ないから場所を覚えていない。
もちろん、最後にここに来たのがだいぶ前だからってのもある。
だが本の並び替えが行われてしまったらしく、目当ての本の場所が分からない。
「……頑張って探すかぁ?」
いや、店員さんに聞くのが一番いい。
「よし。お目当ての本も買えたし、さっさと佐藤の方に戻らないと……。」
僕はお会計を済ませ、本屋の外で待っている佐藤のもとに向かう。
佐藤は詰みあがっているぬいぐるみに囲まれているので一目で分かる。
「……あれ?」
僕は佐藤を見つけた。
見つけた……の、だが。
「……誰かと話してる……? でも、なんだろう……この感じ……。」
佐藤は、ぬいぐるみに囲まれた状態で誰かと話している。
それも、そこまで親しい感じはしない。
一対数人。
あまりいい状況には思えない。
ここで声をかけるべきか……?
どうするべきかわからなくて、コソコソと隠れて近づく。周りから観たら完全に不審者だ。
何か話しているみたいだけど遠くて聞こえない。もう少し近づく。
まだ聞こえない。もう少し近づく。
聞こえない。近づく。
「……ッあ……。」
まずい。佐藤に見つかった。
佐藤は顔を青くする。まるで、今こっちに来るな、とでも言うように。
……何が……? 何があったんだ?
あ、出禁の代償とはアイスが食べられなくなったことだよ。
ホワアァァァァァ!!!!!!!!!!!!(できればコメントにホワアァァァァァ!!!!!!!!!!!!と書いてください。いえ、叫んでください。)