89 おとなしく、とは?
佐藤が転校してきて、一週間がたった。
佐藤と安藤さんの仲は相変わらずだけど、喧嘩している二人の間に入るのが僕の役目。
むしろ、それが日常茶飯事になってきていて、周りもそれに慣れてしまい、
「手は出すなよ~。」とか、
「やりすぎないようにな~。」とか、
「職員室には呼ばれないように気を付けろよ~。」とか言われ始めている。
そんな毎日を過ごしていたある日。
「陸、放課後デートしない?」
と言われた。
その一瞬で、騒いでいた教室内がシーンと静まり返る。
帰りの準備をしていた時で、いきなり言われたものだから反応に困った。
佐藤は笑いながら僕の返事を待っている。
――まずい。
佐藤に言われて僕が一番最初に思ったのがこれだ。
(腐女子たちが騒ぐ。)
一番厄介だ。いやもちろん僕にとってだ。
別にこの後の予定はないし、兄さんも友達を遊ぶと言っていたから洗濯機や台所が爆発する心配はない。
そして数秒経った後、クラスメイトが騒ぎ始める。
「えぇ!? デートッ!?」
「ちょ、お前静かにしろよ。せっかくのいいところなんだぞ。」
――バタッ
「あぁ! 学校でも1位、2位を争うほど有名な腐女子の馬場さんが倒れた!」
「なんて幸せそうな笑顔なんだ……。」
「南無阿弥陀仏……。」
と大盛り上がり。
クールで常に無表情の鈴木さんも興味を示し「ふぅん。」とつぶやいた。
そして、いつも静かに本を読んでいる山本さんも、本を読むのをやめ「青春だね。」とつぶやいた。
「……返事がしづらいね。はたしてこの空気の中、どう返すのが正解かな?」
「……安藤さん?」
安藤さんが珍しくにやりと笑っている。こやつも敵かッ!
クラスはいつの間にか静かになっている。
いつもすぐに帰る橘さんまでもがこちらに注目している。
僕の返事を待っているようだ……。
「……別に……いいけど……。」
と答えた瞬間――。
「ッシャアー!!」
「青春最高!!」
と盛り上がる。こりゃあ隣のクラスまで聞こえてるな……。
クールの鈴木さんは「ふぅん。面白い展開だね。」と言ってかすかに口角を上げる。
本好きの山本さんも持っていた本で口元を隠し、「いいね。こういう展開、大好きだなぁ。」という感想をつぶやいている。
「あはは……。そういうつもりで言ったんじゃないんだけどなぁ……。」
と佐藤は苦笑いを浮かべている。
「さて、じゃあ俺はお邪魔虫みたいだから帰るよ。……おとなしくね?」
安藤さんまでもがいじり始めてきた。
ただ、おとなしく、と付け加えたのが気になる。絶対おとなしくなんかしていないと思う。
「おとなしくって、どういう?」
佐藤が安藤さんに問うが、安藤さんは「えー、なんのこと?」と返す。
「ま、こういうのも悪くないと思うけどね。なあみんな!」
安藤さんがクラスに問う。
その問いかけにみんなが「おう!」「そうだぜ!」「私もそう思うわ!」などと返ってくる。
安藤さんのそら見ろ、とでも言いたそうな意味深な笑顔の反応に困ってしまった。
そういえば。
作「はい。」
今日、朝に弟にクイズを出されました。
皿と皮と血と芋と身と豆と面と歯と鼻の共通点ってなーんだ。
って言われたんです。でも言いたいのはこれじゃないので答え言います。
正解は、全部ウ冠とかがついてない。でした。
白「……よくわからない。」
それで私が姉に「”はな”ってどう書くんだっけ」と聞いたら、姉が「こう書いてこう書いてこう書いて……あれ、これ”亀”だ。」って帰ってきたんです。
ナ「漢字の勉強しようぜ。」
したうえでのあれなんだと思いますが?