82 静寂の中の違和感
中には、物がいっぱい詰められている箱が詰みあがっていた。
(……何だこれ……!)
何が入っているんだ?
……さすがに……ここまで覗くわけには……。
箱を一つ取り、中を覗いてみる。結局、若さゆえの好奇心には勝てなかった。
中にはアルバム。
……つまんな。
覗いておいてそれはないだろ……という自覚はあるが、止める者はここにいない。
もしかして、他も全部そうなのか?
優斗は、奥にある箱に手を伸ばした。すると、箱の隙間からある一つのアルバムが目に入った。
そのアルバムはそこに偶然入ったのではなく、意図的にそこに置かれたような感じがした。
(グッ……取れない……。)
いくら頑張っても取れない。手があたりはするが、手に取り引っ張り出すことはできない。
数分、そこで粘る。
やっと……やっと取れた……。
これで中身がしょぼかったら容赦しない。……とはいっても誰に?
早速アルバムを開いてみると……。
「……は?」
思わず声が出た。
かすれた声だったが、そっちは気にならなかった。
アルバムの中には、幸せそうに微笑む家族の写真。……でもあった。……だったらよかった。
おそらくアルバムの家族は五人家族。
父親と母親、母親に抱っこされている子供。父親の前に立つ男の子。そして――。
母親の前に立つのは……服装的に……女の子……? ……でも……
――だったらどうして、少女だけが破られているんだ……?――
まるで、そこにいたことを消し去りたいかのように。
陸の両親は見たことがある。旅館で見た。
こちらは赤髪は珍しい、と思いながら見ていたが、向こう側もなぜかこちらを横目で見ていた。ジロジロと見ていたからだろう。
ただ、赤髪の夫婦は本当に珍しいだろう。
赤髪の母親、同じく赤髪の父親。
抱っこされている赤髪の子供、おそらくこれが陸。……陸だとしたら……。
父親の前に立っている少年は空だろう。同じような赤色の髪だ。それに、陸との年齢差も考えれば可能性も高まる。
母親の前に立つ少女は、一部破られていない場所で髪が見えている。この少女も同じく赤髪だ。
他のアルバムの写真を見ても分かる。
陸は父親とも仲がいい。その証拠にこの写真でも父親に手を伸ばしている。
……でもなぜだろう……。今と少し雰囲気が違うような……。
「……何だ……?」
アルバムをめくる。
他も同じように少女が映る部分だけ破られている。
――ただある写真を最後に、少女の姿は消えた――
公園の写真だった。……どこの?
見たことない。
忘れないように写真を撮っておきたいところだが、あいにくカメラは持ってない。
最後のページまで来た。
そこに、あるメッセージカードと共に、破られていない写真二枚とどこかの鍵が貼り付けてあった。
破られていない写真は、陸の母親と思われる人物が生まれたての双子と手を繋いで疲れ気味の嬉しそうな笑みを浮かべている写真。
もう一枚は――。
……見てはいけない気がした……。
メッセージカードと写真二枚を見えないように内側に折る。
とその時……。
「優斗ー。」
ビクッと肩が跳ねる。いきなりすぎてメッセージカード入りの内折り写真を鍵と一緒にポケットにしまう。
後ろに一歩下がって後ろにも積み上げられている箱にぶつかり、上から箱が落ちてきた。
大きな音がなり空が駆けつける。
……まずい。でも、ポケットにしまった鍵とメッセージカード、写真二枚と破られたアルバムが見つからなければいいだけ。
……その後、無事乗り切った。
(……正直言って……ごまかすの大変だった……。)
初期:結局、若き魂、おのれの好奇心の強さに勝てない。
現在:結局、若さゆえの好奇心には勝てなかった。
作「これだけで結構印象代わるよね……。」
だね。
ナ「なんかコメント薄くない?」
そう?
ナ「そうだよ。」
白「なんなの?」
はい?
作「壊れた?」
えぇ?
作「壊れた。」