81 絶望ノ招待状
声をかけられて、そちらを見る。
そこには、なんだ……、と言ってドアにもたれかかるように立っている空がいた。
「……あまりにも漫画みたいな場面だったから、声をかけるのをためらったよ。」
……まあ、パジャマの状態で星空に手を伸ばす、というシーンはありそうだな。
空はこちら側に歩き、隣に立つ。
優しい笑みを浮かべて話を続ける。
「今、そういうシーンありそうって思ったでしょ。」
バレた。
「確かにあるだろうね。というより、俺が持ってる漫画にそういうシーンある。」
あるのか。
「暇になったら読みに来てよ。俺、結構漫画持ってるからさ。」
……気が向いたら。
空は思ってることが分かっているのかいないのか、話を変えた。
「それより、どうしてここに?」
……目が覚めたからだ。
大した理由はない。いや、久しぶりのベッドが落ち着かなかったのかもしれない。
……それより、空はどうしてここに?
単純に気になった。空の方に目を向けると、悲しそうな表情をしていた。
今までもどれとも違う。
さっきの笑みでもない。学校でよく見るクラスメイトに対する笑顔でもない。
佐藤と会ったときの殺意の籠った無表情でもない。
……ただただ、悲しそうな……。
………………やめよう。
「あー……。一度起きたらしばらく眠れないだろうし、テストに向けて勉強でもしようかなー。」
伸びをしながらそういう空。
確かに……。テスト勉強はしたことないな。そもそも、安心して勉強できる空間がない。
空は帰って行った。
屋上は再び静まり返る。
……それと、今まで忘れていたことがある。
昔、宇宙に行きたいと思っていたことがあった。
いろいろあってあきらめていた。きっと、今思い出したところですぐあきらめてしまうだろう。
どうして今、思い出したのか……。
でも、ダメだ……。
いつもいつも、幸せだと思った瞬間に絶望への招待状が送られる。
そして気づくと――絶望への急降下が始まっている。それは、まるで運命が仕組んだ罠のように。
思ってはいけない。周りにまで被害が及ぶ。
思い知った。この目で見てきただろ! ……この幸せな家を、壊してはいけない。
……俺とは違うんだ。
絶望の招待状は、郵便受けに入ってるんじゃない。……いつの間にか、幸せの家の中に置いてあるんだ。返却は受け付けてくれない。
正直言って、招待状なんてものじゃない。
これは強制だ。引きずられるように絶望へ急降下する――そんな感覚。
……招待状を意図的に家の中にいれた人物がいるとしたら……?
数秒考えた後、首を横にぶんぶんと振る。
そして、両頬をバチンを叩く。……痛い。
しまった。首をぶんぶん振ったせいで、頭が……。
……ん?
ふと、気づいた。
屋上の入り口の近くに、物置みたいな場所があった。
数秒間の葛藤。
だが好奇心に負け、中に入ってみることにした。
”絶望への招待状”は”絶望への急降下”と迷ったけどね。
作「うっわサイテー。」
どっかで聞いたことあるようなセリフ?
ナ「どうも、後書きコーナーに居座る、ナレーターさんでーす。」
白「どうも、ナレーターさんと同じくここに居座る白銀ノ聖桃蝶でーす。」
いや何? この急な自己紹介。
白「だって私達名前忘れられるのイヤだもん。」
だからって急すぎ! せめて私の許可とッ
作「はいはい製作者の御威光は無視して。」
酷い!