77 水も滴るいい男(?)
ラッキーセブン!
「兄さん! どこ行ってたの!?」
陸は玄関で空に向かって怒っている。
歩くのすらだるくて耳に入った情報だけの予想だけど……。
「え!? いや、ちょっと……急用?」
……なんだ? その言い方は。
「あれ? 優斗? ……どうしたのその包帯。」
いつの間にか空がリビングに入ってきていたようだ。
空は俺の頭に巻かれてる包帯を見てそう言ったのだろう。だがあいにく、今の俺には応えられるほどの余裕がない。
空の後を追うように陸が入ってきて、すかさず空を叱る。
「兄さん! タオル持ってくるから中入らないでって言ったよね!?」
うう……頭に響く……。(一応病人)
陸が「まったく……。タオル持ってくるから、そこから動かないでよ!」と言って部屋を出て行った。
……? なぜ空はこっちを見て来るんだ……?
なんとなく気まずくなって目をそらす。
そして空がいきなり「フッ」と笑ったので空の方を見ると、
「水も滴るいい男……だろ?」
と言いながら前髪を上げてオールバックになる。
これが漫画なら周りがキラキラして見えているだろうな……。
と思いながら黙って空を(ジト目で)見上げていた。
だが、『水も滴るいい男』の本来の意味は『みずみずしい魅力にあふれている』こと。
つまり、濡れていること自体が理由じゃないんだよな……。
……ここにいるのが女子なら黄色い歓声を上げているだろうから……間違ってはないのか……。
と思っていると陸が戻ってきて、タオルを空と俺に(優斗は一応濡れている)渡してから空に服を借りる許可を取っておそらく空の部屋があるであろう二階へあがって行った。
「なあ優斗。どうしたんだよその傷。」
……まだあきらめてなかったか……。
俺はタオルで体を拭くために重い体をゆっくりと起こして壁に寄り掛かる。
すると空が目の前にしゃがみこんできた。
……何度聞いたって無駄だ。
答える気は無い。
「優斗。」
珍しく真面目にそう言うので少し驚いたが、陸の兄弟なので似てる面も少しくらいはあるか……と考え直す。
その時、空が優斗の左腕を掴んだ。
「ッ!!」
反射で空を手を振り払う。熱が出てるにしては結構早く動いたので、自分でも意外に思った。
優斗がそんなことを考えている間、空は思っていた。
(……ああ……そうか……。そんなに強く理由を話したがらない……。頭の傷……。そして左腕のリスカ……。そしてそこを掴んだ時の反応……。……どうして……。)
空は眉間にしわを寄せ、静かに目を伏せる。こういうところは、兄弟で似ている。
(どうして昔から……こういう事には鋭いんだろうな……。)
なんだ?
作「何?」
ナ「何々?」
白「何何何?」
……何この流れ。後書き冒頭としては最悪だよ?
ナ「いやお前が始めたんだろ!!?」
いやそうだけどさ……。なんだか今回は77話とラッキーセブンな数字なのに話の内容は全然ラッキーじゃないなーって。
作「そうだけど……そうだけど! キキに言われるのだけは嫌。」
なんでだよ!