75 雨宿り
雨が降ってきた。
初めはポツ……ポツ……と降ってきて、あっという間にバケツをひっくり返したような大雨になった。
優斗は、家を出たところで行くところもなく、公園の土管の下で雨宿りをしている。
まずいな……。今回は何日たてば家に入れるようになるだろう。長く続くと命に係わる。
昔から、家から出されることはよくある事だった。そのたびに、千代が水筒を持ってきてくれていた。
だが今回はそれすら無い。
本当に……まずい……。
「あー……やばっ。どうしよう……。」
家に帰ろうとすると、帰り道が工事中で通れないことに気づいた。
……早めに気づいて良かった。あとちょっと遅かったらびしょ濡れで工事中の看板の前で絶望するところだった。
「兄さんは旅館にいないし、佐藤はキレ気味だったし、スマホを優斗さんに渡したままだし……最悪ー!!」
僕は上着を頭からかぶって(一応)濡れないようにした状態で走りながらそう叫ぶ。
なんとなく叫びたくて「うわー!!!」と叫ぶ。
でも足は止めずに走り続ける。
その瞬間、空がピカッと光り、すぐに轟音が響き渡った。
「うわあぁ!! ……近くに落ちたな……。」
思わず足を止めて音がした方を見る。
そうだ。この近くに公園があったな。そこには大人も入れるサイズの土管があったし、そこで雨宿りしよう。
家に走るよりはマシ? ……かな……。
公園に行って土管の中をのぞくとビックリ仰天。なんとそこに優斗さんが居たではないか。
「……えッ、優斗さん!?」
(……陸……!?)
なんという事だろう。公園で雨宿りしていたら陸に見つかって(?)しまった!
今はスマホにひびを入れてしまった罪悪感に浸ってるところだったのに……。
正直言って、今一番会いたくない人ランキングトップ10には入る。
そしてあの後、陸の家に半強制的に連れていかれ今に至る。
「優斗さん? 聞いてるんですか!?」
陸は「まったく……。」と言って頬を膨らませている。
完全に説教されている。
ただ、病人に説教しても意味があるのかどうか……。
……う……。まずい……。貧血で立ち眩みが……。
優斗はとっさに壁に手をつく。
「ゆ、優斗さん?」
陸は考える。そして思い出す。
優斗は今、熱を出しているという事を。
さて、ここで問題です。
作「超いきなり! ていうか陸の‘‘半強制‘‘ってお約束じゃない!?」
もし公園で雨宿りしていたら、ランキングトップ10の‘‘会いたくない‘‘相手が来たらどうしますか?
白「はい! 『話す』です!」
ナ「不正解。正解は『逃げる』(笑)」
ナレちゃん、さすがの正解! こういう時は迷わず『逃げる』一択! 次回、陸の家での優斗の運命とは……!? お楽しみに!
白「皆さんは、大雨の中での思い出ってありますか? 私にはありません!」