73 風雅 美湖
文章題
〖狐塚 キキ〗さんは「死に戻り(略)ます!(1540円)」と「死にたがり(略)女(1430円)」を買おうとしています。〖狐塚 キキ〗さんは今、3000円持っています。
お釣りはいくらになりますか。
1540
+1430
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2970
2970円必要。お釣りは30円。
『はぁ……。とりあえず優斗くん。私は何があっても君を止める。』
(……他人の癖に。)
他人に止められる理由はない。
赤の他人でしかない人物が、生殺与奪権を簡単に握れるような世界なら……もうとっくに壊れてる。
『そんなことをしても、誰も喜ばない。』
(……そんなことは分かってる。)
『ああ言えばこう言うこう言えばああ言う。ほんとになんなの?』
美湖さんが一度、ため息をつく。
『あらあら。マズいわ……。このままだと怒られてしまうわ。』
だれに。
『蓏乃くんに♡』
「………………はぁ?」
思わず声が出た。
蓏乃。確かにそう言った。
確かに居ても、おかしくはない。
美湖さんはにっこりとほほ笑んで言う。
『悲しむでしょうねぇ……彼。命を懸けて守った大切な家族が、殺されてしまうなんて……。』
「ゥぐっ……!」
ぐうの音も出ない……いや、正確には「ゥぐっ」だけど。
にっこりとほほ笑みながらこちらを見る美湖さんに、はめられた、と今更気づいた。
しょうがないのであきらめよう。そして、近いうちにまた来よう。
(……はぁ。わかりました。あきらめましょう。)
『あらあらあら♡ 良かったわ~。若者の命、守るべきだもの♡』
(はぁ……。)
ん……と声がして目が覚める。しばらくして、その声の主が自分だと気づいた。
仕方ないと言えるだろうか? 母親とは強いものだ。
うちの母親も。美湖さんも。
(……母は強し。)
我ながらなんてのんきな考えなのだろう。感覚がマヒしている。
自分が今、生死の狭間にいた自覚はないらしい。
いつからだろう。自分の感情にすら鈍くなったのは。
……さて、早く家を出ないと、またスタンガンで沈められる。
威力がバカみたいなスタンガンだ。多分改造してる。
はぁー……。まあ、銃を持ってないだけマシか……。
頭痛い……。頭重い……。頭グワングワンする……。……最悪だ。
外に出て空を見上げる。厚い雲に覆われた空からは、絶望感しか感じられない。
おまけに……おまけで言う事ではないが借りてた陸のスマホにはひびが。
(……雨降るな……。)
死なないように頑張ろう。という感情しかわいてこないことに、また嫌悪感を感じる。
普通ならば、青春を謳歌してバカやってる時代。その恵まれた時代にせめて死なないようにと努力するなんて……と相変わらずの考え方。
そんな毎日の、繰り返し。
フッ、サイダーが爆発したよ。
作「テンション……バグりしましたね。」
白「何? ぇ? 何?」
ナ「どした?」
弟の自慢にイラついた姉が、弟のサイダーを振ったのサ♪
白「テンションおかしくない? っていうか、なんでサイダー振ったの?」
サイダーを開けようとした弟に「ながしで開けたら。」と言おうとしたが口を開いた瞬間にサイダーがこぼれてきて、頭使おうゼ☆、と思ったわけ。(そして私は、それを横で見ていたというわけ。)
作「これ、笑い話にしていいやつ? ……ハッ、これが……炭酸の復讐…………!?」
結論:油断するとサイダーに殺られる。(弟よ、これを教訓に……生きろ……!)