69 消えた記録
安藤さんはこれからはもう写真も売らず盗撮もしないと約束し、友達の元へ駆けて行った。
思わずため息がでる。まあ、しょうがないよね。
そのあと、そのまま普通に授業を受けて、普通に帰ってきた。
放課後・・・
「ねえ陸。」
「……何?」
旅館の中を探検していると葵に話しかけられた。
相変わらずの女装。本人ももう慣れているらしい。
「昨日の誘拐事件でクラスメイトに迫られて大変だったんだよ~。」
「ふーん。ソウナンダ。」
「他人事のように言わないでよ。」
「だって実際他人事だし……いや、そうでもないのか……?」
そうでもないかも。完全に首を突っ込んでしまった。筮さんに怒られる……。
「陸、姐さん、どこか知らない?」
「え? うーん、知らないけど……。」
「そっかー。実はさ、姐さんのスマホとボクのスマホ取り間違えてたみたいで……。」
それで探してるのか。
「光莉を探してるなら、ドアのない部屋は見た?」
「まだ。そこにいるかなぁ?」
「じゃあ一緒に行こう。僕もそっちに行こうとしてたところだったし……。」
とのことで、ドアのない部屋に向かいましょう。
ドアのない部屋に向かう途中、葵がこんなことを言っていた。
「そういえば、優斗さんが会話を録音したって言ってた……なんだろう、ボイスレコーダー? あれ、音声何も入ってなかったらしいよ。
監視カメラも、何も映ってなかったって。もちろんボクや園長先生も。多分別の日の物。警察は、映像すり替えた人と元の映像を探してるらしいけど、見つからないんだって。」
「初耳。」
「言ってないし、言われてないから、初耳だろうけど。」
そんなことをしたのは誰だ?
ボイスレコーダーは多分持ち主の優斗さん。では監視カメラは……?
ドアのない部屋の前につくと、そこには千代さんがいた。
「千代さん? 何してるんですか? 入らないんですか?」
「陸くんと葵ちゃん。……はぁ、入りたくても入れないよの。中に入ればわかるから。」
「はぁ……。」
意味深な言葉に少し戸惑いながらも、中へ足を踏み入れた。
それよりも、千代さんが元に戻ってて良かった。昨日の怖い千代さんだったらどうしよう……っていうのは、無駄な心配だったみたい。
でも千代さんは、復讐、したいんだったよな。
……復讐……。復讐なんていいことないし、辞めた方が……。
やり返したら、嫌いな人と同じになっちゃう気がする……。
そこまで考えてハッとなる。
首をぶんぶんと横に振って考えを改める。
きっと、千代さんには千代さんなりの考えがあるはず。それを勝手に部外者に口挟まれるのは嫌だよな……。
ナ「俺は、そうは思わないな。」
作、白「……何が?」
復讐の事、でしょ。
ナ(コクリと頷く)「陸が言っていた事は違うと感じる。」
作「え? 復讐は悪いことで……」
ナ「……違う。」
作、白「………………。」(素直に驚く)
……っとそこまで~。それ以上は、ネタバレだよ♪
作、ナ、白(不満げにキキを睨む)