68 虹の数え方、間違ってない?
でも……うーん……ラルとレルについても気になるし……。
確か同メンバーの親戚疑惑があるんだっけ。そっちも見てみた方がいいのかな……。
名前は確か……。
「碧ノ 青と、紅葉ノ朱……。」
「……碧ノ青……? 紅葉ノ……ああ、虹iroの話か。」
ボソッと言ったつもりだったが、聞こえていらしい。
というか安藤さんも知ってるんだな。知らないのは僕だけ?
「知っ……てるか。当然だね。」
知らないのは僕だけか。
「……もしかしてだけど……。虹iro、知らない?」
――ギク
「ッしっしっし、知らないわけないじゃんッ!?」
「うわぁ……絶対噓。」
「はい。すみません嘘です知りません。」
「………………。」
しばらくの間、沈黙が流れる。
そして安藤さんが「フハッ」と笑った。
「マジか! え、マジ? いやー嬉しー、俺、陸が転校してきてから勉強も運動も二位だったから……。いやほんと冗談抜きに嬉しいわ。」
「………………。」
……笑われてしまった。
でもバカにするような笑い方じゃないし、いい人なんでしょう。
「虹iroかー……。……虹iroといえば、俺ずっと前から不思議に思ってたことがあるんだけど、虹って七色じゃん。でも虹iroは四人なんだよ。三人足らなくね?」
……確かに。名前の意味を、考えたことがなかった。
考えることが増えたかもしれない。でもただ単に、ノリで七色とか考えずにつけた可能性もある。
なんなんだ?
海斗情報では、虹iroは初めから「虹iro」として活動していたのではなく「華園」という配信者二人ともう一つの配信者二人が合体して出来たらしい。
もう一つの配信者名が「才色」。才色兼備からとったと言っていた。
「名前の由来……。もしかして、何か意味が?」
――カシャ
「ん?」
何の音……?
音の正体、それは安藤さんのスマホのシャッター音。
……盗撮?
「……安藤さん?」
「イケメンが顎に手を当てて考え事をしている姿……絵になるね……。」
「えぇ……。」
僕はどちらかと言えば少年顔だと思う……。というか父さんがそう言ってた。
僕がイケメンなら安藤さんも十分イケメンの部類に入るかと……。
だが盗撮には変わりないので思いっきり嫌な顔をして後ずさってやった。
「あー! ちょっと待て。これには深いわけが。」
「……何?」
いきなり真剣な表情になった安藤さんに少し驚きつつ、理由があるなら聞いてやろうと耳を傾ける。
「いやー、女子に高く売れるんだよーこれが。」
苦笑いしながら、じりじりと後ずさる。
僕の写真より安藤さんの自撮り写真の方が売れるんじゃないかな?
「あー! 待って! お金取ってないから!」
はぁ? なんだこの人。
「チッ」
見苦しい言い訳だ。
つい舌打ちが出てしまう。
カッコいいタイトル
「虹色の謎」
「運命の色彩」
「七色の影」
「隠された虹」
「色彩の迷宮」
ミステリアスで惹きつけるタイトル
「虹の裏側」
「消えた三色」
「色の記憶」
「沈黙の虹」
「運命のパレット」
ユーモアを交えたタイトル
「虹iroって何色?」
「七色なのに四人?」
「色彩ミステリー開幕!」
「虹の数え方、間違ってない?」
「名前の由来、深すぎ問題」