65 ラル、やらかしの言葉「叩けば?」
後書きキャラの性格を書いてみました。
作 冷静&ちょっとツッコミ気味
ナ 皮肉&少し哲学的
白 茶化しつつも含蓄あり
キ 感傷的&ちょっとセンチメンタル
この話の題名案に少し迷った。
1 嘆きの闇
2 事故放送
3 見えない恐怖
4 ラル、やらかす
5 叩けば?
6 夜の声
7 消えた残像
8 ラル、また事件を起こす
9 叩け、さもなくば……
少し不自然なつながりかたがあるかもしれません。
家に帰った時には、結構遅い時間になっていた。
だがまだ眠ることはできない。
海斗に依頼された事故放送を見なければならない。(忘れた人は50話に戻ってね。)
『今日話した事故放送の動画⇊』
海斗からの未読メッセージの中に、例の動画があった。
動画を再生する。
どうやら事故放送だったらしい。
コメント欄のコメントは読む暇もないくらい早いスピードで流れていた。
ただ肝心のキャラクター? が出てくる画面は真っ暗のまま。
『あーあー。音量大丈夫ー? 聞こえてるー?』
聞こえてきたのは女性の声。この声の主はおそらくレル。
――聞こえてるよ!
――ひさしぶり!
――画面みえてないよ
コメント欄に書かれていたのはそんな言葉。
『やっほー。みぃーんな元気だったぁー?』
特徴のある喋り方だ。これは聞けばすぐにわかるだろうな。
――画面みえてない
――トラブル?
――今来ました
『一ヶ月くらい配信できなくてごめんねー。家の方がちょっと……。』
レルが言葉を濁した。
トラブっていたのだろう。言うほどの事ではないのか、リスナー? に心配させてしまうのは申しわけないのか……。
――画面みえてないよ!
――こんにちは
――画面が……
――見えてないよ
――何何? 今来たんだけど
――画面みえてないじゃん
『……えぇ!? 画面が見えてない!? ちょッ……待っ…………どうすれば……? ラルどぉーしよぉー……。』
『……。叩けば?』
『たッ!?』
叩けば? というラルの無責任な発言。
ラルの声は書いてあった通り、闇ボイス? なんだろうな。でもなんだか……
低く響く不気味な声だと思った。ラルの声がスピーカーからじわりと滲み出てきたとき、
――深い、暗闇の底から響いてくるような声だと思った。
――音の奥に、何か別のものが潜んでいるような錯覚だとも思ったんだ。
『……叩けば?』 どこか感情の抜け落ちた、無機質な響き。不気味な余韻が残る特徴的な声だ。
空間を歪めるような囁きだとも思った。
『……叩けば?』 その一言が流れた瞬間、画面越しの空気が冷たくなった気がした。
低い声なのに、耳元で囁かれたような錯覚―― まるで誰かが背後に立っているかのような、ぞわりとした感覚。
――ラルの声はこんなに重たいのか? ――怖い……。
機械じみた不安定な響きだ。
ラルの声は、どこか音が崩れていた。 雑音混じりのラジオのような、途切れがちな響き。
――人間の声なのに、人間っぽくない。
――まるで、深夜の誰もいない部屋で聞くノイズのようだ……。
『……叩けば?』 言葉の切れ目で、音が微かに歪んだ気がする――気のせい、かもしれない。だと信じたい。
……ダメだダメだ。そんな事では身が持たない。
何せこの配信でラルの声が聞こえるのは一度じゃないだろう。
一言でそんなに怖がっていてはダメだ。
――画面が映らないのはいつものこと?
――この間もこんなことあったよね……
とのコメントがあった。
過去の配信を見直しても、こんなトラブルが起きた記録はないはずだ。
なのに、一部のリスナーは「いつも通り」と言っている……。
……まあいい。今は続きを見よう。
――叩いちゃえ!
――昭和じゃないんだから……
――高いんでしょ?
――たーたーけっ
――たーたーけ
――たーたーけ
『猛烈な叩けコール……。高いんだよなぁ……この機材全部。ああ!! ラル叩いちゃダメぇ!!』
――バンッ!
『あぁ!!? ッちょっ、えぇ!!? ……うそでしょ?』
どうやら、ラルが叩いてしまったらしい。レルの悲鳴が聞こえた。
――あーあ
――ラルさんやっちゃったねぇ
――出た ラルさんのど天然
『ん゙~……。あ、直った?』
――見えた!
――お久しぶりです!
――今来ました どうしてこんなにコメント荒れてるの?
――ラルさんが機材叩いちゃったんだとよ
『ラルが配信準備したから画面映らなかったじゃん!』
――まあまあレルさん ラルさんは天然だ
――機材もそんなに詳しくないし
もしや、いつもこの調子か?
……こりゃ人気も出るわ。
画面に映ったのは白緑(きみどり)色の目に卯の花(しろ)色の髪をポニーテールにした女性、リルと、
右目が千歳緑(みどり)、左目が漆黒(くろ)色のオッドアイ。白梅鼠(はいいろ)色に赤白橡(オレンジっぽい赤っぽいオレンジ)のメッシュが入った髪を下の方で緩く結んでいる男性、ラル。
……と、ここまでは茶番。問題の事故配信は、ここから。
誕生日前日の午後五時、もうそろそろ年を取りたくないと自覚してきてしまいました。
作「早くない? まだ義務教育中でしょ?」
ナ、白「皮肉?」(魂年齢四桁の方たち)
ヒニクジャナイヨ。
作「何度も言うけど、誕生日前日、年を取りたくないとか言ってるけど、まだ義務教育中でしょ?」
ナ「時間の流れって不思議だよね。年齢はただの数字だって言うけど、その数字に振り回されるのが人間ってやつだ。」
白「魂年齢四桁の私たちにとって、誕生日なんてただの節目。でもまあ、ケーキは食べたい。」
誕生日ってさ、過去と未来の狭間に立つ日なんだよね……。まあ、そんなことより次の話のネタ何にしよう?
作、ナ、白「決まってるくせに。」
えへへ