64 運命の歪み
長くなったので分けました。実はこの話、65話の後に思い出して書いた話だから、今日が5月9~10日に書いた話です。65話は5月の8日に書いた話です。
いつから狂ってしまったのか。
『花ちゃん』が答える。ちなみに『アスモデウス』は不在。
××が少し黙る。知らないのか忘れたのか。助け舟を出してやろう。
「グローバル、ポジショングシステム……だよ?」
そう教えてやればすぐに思い出す。
××は静かに目を閉じ、記憶の中で「グローバルポニショングシステム」という単語を探している。
「……Global Positioning System。通称GPS。
とは、アメリカ合衆国によって運用される全地球測位衛星システム。地球上の現在位置を測定するためのシステムのことを指す。……です……だったはずです。」
「……正解。まさかそこまで覚えているなんてね。」
月リーダーがあきれつつ言う。声はあきれている。顔は笑っているが眉が下がっている。苦笑いにも見える微妙な顔。
「さーて。次はどうするかな……。」
「珍しいですね。マスターがそんなことを言うなんて。」
「そうだね。こればかりはどうしようも……。……あとでどうにかして話を聞かないとな……。」
「妹様にですか?」
「××。俺の妹だからって様なんてつけなくていいよ。」
××が「申し訳ありません。」と謝る。
いつもどうりの会話。やはりここは居心地がいい。
いて楽しい。だからこそずっとここにいる。
「そうだ。○○。」
「ん? ……わっ!」
呼ばれたから花ちゃんの方を見ると花ちゃんではなく酔っ払いに蛇を投げつけられて顔に当たる。
蛇、ではなくゴジップ。ボクのペット。
「ゴジップ! 何もなかったか? 元気か? けがはないか?」
訂正。ゴジップは友達……親友だ。
倉庫の中の子供に紛れる際に花ちゃんに預けたはずだが……。なぜ酔っ払いが?
二人を少しにらむと露骨に目をそらされる。
「はいはい。そこまで。」
月リーダーが手をパンパンとたたいて間に割って入る。
「もうそろそろ行かないと。媿野家の方々に気づかれては厄介だ。身元まで特定される。」
媿野。説明は難しいので簡単に言うと、西村陸の親戚、海斗が所属する組織……という表現が一番近い。
一度ため息をつく。
月リーダーはこういう時、いつも一人一人の名を呼ぶ。
「リゲル。」
「はい。」
最初に呼ばれるのは『××』こと『リゲル』。
「ソイル。ゴジップ。」
「はーい。」
次に呼ばれるのはボク。
白髪緑メッシュの子供、なんて呼ばれてるけど、本名はソイル。
「レグルス。」
「はい。」
君たちの間では酔っ払いと呼ばれている男の名はレグルス。
レグルスは一応育ちがいい。どうしても兄と比べてしまうところもあるが……。まあ、悪い奴ではない。
「堕天使、ルシフローラこと巫薇倭 絵留。」
「はい。」
彼女が『花ちゃん』。
名が2つあるのは後ほどわかるさ。これから先の物語で、名前を聞くことがあるかもしれないからね。
ただ、忘れてしまっても構わない。僕らの存在を知られてしまっては行動が制限され、動きずらくなるだろう。奴らは強い。
「行こうか。」
「「「「はい。」」」」
ああ。忘れていた。
おそらく、僕らの本名が出るのはここでだけ。そのほかではちゃんと、今まで通りの偽名を使わせてもらうよ。
なぁに。急に名が変わっては君らが混乱するだろうというボクの優しさ。感謝して♪
ボクは『白髪緑メッシュの子供』『○○』とね。
レグルスは『酔っ払い』。ルシフローラは『花ちゃん』。
××ことリゲルは、『黒髪赤メッシュ』『××』。
もしくは……『春日さん』とね。
次に本名が出るのはおそらく……物語上での来年? になるのかな。
裏設定:ここにいるのは、喜怒哀楽四人。
『喜』白髪緑メッシュの子供、もといソイル。
『怒』花ちゃん、もといルシフローラ。
『哀』××くん、もといリゲル。
『楽』酔っ払い、もといレグルス。
作 「……結局、何がどうなってこうなったの? 誰か説明してくれない?」
自分もその運命を作った張本人のくせに。
ナ 「運命なんて、いつだって歪んでいるものだよ。意図的にか、偶然かは別としてね。」
うへ。悟ったふり?
白「まあまあ、細かいことは気にしないの。歪んだ運命のおかげで、こうして面白い話ができたんだからな。」
自分もその歪んだ運命の中の一人だって事忘れないでよ……。歪んだ運命の中でも、こうして進んでいく。たとえどんな形になっても、時間は止まらないんだよね……。
作、ナ、白「ははは……。」