48 中途半端
ハッキング、ダメ・ゼッタイ
()は優斗が思っている事。千代は読み取れている。
()が付いていないものは、千代は読み取れていない。
一方その頃、優斗と千代は…
「優斗、お願いがあるの。」
千代は、優斗の正面に立って真面目な顔で言った。
優斗はあきれる。目が口ほどに物を言いすぎている。
(俺に葵の場所を特定してほしいんだよな?)
目が口ほどに物を言うと言っても、言いすぎな気がする。
千代はにっこりと笑う。
「そう、さっすが優斗。わかってる~。」
優斗は軽くため息をつく。
千代はなぜかユウトの言いたいことが分かる…らしい。
なぜわかるかは優斗も知らない。
(目がものを言いすぎてる。)
「あッはは! そうかも! こんどは善処するね?」
(はいはい。)
優斗はカバンからパソコンを取り出す。
早く、やらないと。
それより、千代の素が出てしまっている。
千代の素は、千代と、優斗が嫌っている人物と似ている。
しょうがないと言えばしょうがないが、千代にとっても嫌なものは嫌なので、素は出さないようにしている。
……毒親ってやつか…。
千代が嫌いな人物は、千代の父親。
もちろん優斗も嫌いなので、集中してなるべく気を使わないようにしている。
話がそれたかもしれない。パソコンを立ち上げて、何をしているかと言うと……
まあ要するに、ハッキングだ。
葵が乗って行った車のメーカーは覚えた。
そこから探し出すとなると、結構な時間がかかる。
指はキーボードの上を忙しなく動き、画面には絶え間なくコードが流れていく。
カーネルにアクセスするまでの秒数を数えながら、優斗は深く息を吸い込んだ。
小さなエラーが思わぬ障害を生む可能性もある。
(ん?)
そこで気づいた。
不自然だった。
(前にもハッキングをしようとした人がいた?)
ログを確認すると、見慣れないIPアドレスが目に留まった。
なぜこの時間帯にこんなアクセス記録があるのか――それを考える優斗の表情には微かな緊張が浮かんだ。
そこには、中途半端なハッキングがあった。
(………………。)
「できそう?」
(そうだな……。
この中途半端にハッキングされた跡があれば、20分ってとこか。)
正直、40分は覚悟していた。
(しょうがない。いっちょやりますか。)
「ありがとう。何分かかる?」
千代はきりっとした顔で言った。
(20分。)
「お願いね。」
5分後――
「できた?」
(今やってる。)
10分後――
「まだー?」
(十分でできりゃ苦労しないよ。)
十分間、ずっとパソコンに向かっていて、車は特定できたから、今度は場所。
ん? ……またか…。
何度か中途半端にハッキングされている場所があった。
だれがやったのか、何のためなのか、それを調べる時間はなかった。
15分後――
「ィた。」
そのへんの石で地面に絵をかいていた千代に、優斗が小石を投げて千代の頭に当たった。
(できた。)
15分間、優斗はほとんど息をすることさえ忘れていた。
画面の中の進捗バーはようやく終わりに近づき、彼の額には汗がじんわりと滲んでいた。
中途半端なハッキングで、15分で終わった。誰がやったのかは、分からずじまい。
挿絵つけたい。
ナ「つけろ。」
即答!? じゃなくて! みんなは陸たちはどんな姿してると思ってるのかなと思っただけ!
作「そんなに知りたい?」
当たり前!! みんな、コメントに書いてください!!
ナ、作「いいね等もよろしくねぇ~。」