39 間違っても水風呂に飛び込む真似はやめましょう。
「陸陸。」
「なに?」
突然、葵に話しかけられた。
「帰る前にうちの旅館のお風呂入って行かない?」
「え? いいの?」
「いいの。魔法で作ったものだから、治癒効果もあるお湯だよ。疲れをいやしてきなよ。」
魔法で作ったお湯には、治癒効果があるのか…。
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「陸。」
次は光莉に話しかけられた。
「ついでに佐藤くんにも魔法の事説明してきてよ。おばさんの許可取ったし。」
「え!? 僕が!!?」
「そう、よろしくね。」
光莉が手を叩いた瞬間に、温泉……銭湯? の前に飛ばされた。
魔法って便利だな。
って! お風呂の準備も持たされてる!
「なんで…?」
「陸?」
声がした方を見ると、佐藤が立っていた。
めちゃくちゃ驚いた顔をしている。
(さっきまで、陸の気配はしなかった。なのに、いきなり現れた…!)
佐藤が驚いていた理由は、陸の気配が急に現れたからである。
「…スゥ……佐藤。」
どうしましょう。
「ねえ、陸。陸は俺と同い年だよね?」
「そうだよ?」
僕より先に、佐藤が先に口を開いた。
今の僕の気持ちを言語化すると、何をいまさら…って感じだ。
「じゃあなんで陸はここにいるの?」
……確かにッ!
僕は中学生で、本来働いちゃいけない年齢であって、佐藤はそれに気づいたのか!!
「俺もさっき気づいたんだけど、陸は中三だよね?」
そうです。
ここで話すのはやめた方がいいかなぁ……。
「まあ、ここに来たって事は風呂に入りに来たんだよね?」
という佐藤の一言で、風呂に入ることになりました。
確かにお風呂に入るセット持ってたしね……。
「意外と広いね……。」
佐藤の声が響く。
確かに、ここには来たことなかったからなぁ…。
中には人がいなかった。人が来る前に、魔法の事を話しておかなければ。
体を洗って、いざ!
「やー!!」
「あ! 陸!!?」
お風呂に飛び込む。
――ドボーン!
「冷たッ!!? 心臓飛び出る!!」
「フフッ、そっち水風呂だよ? 大胆だね…ハハ!」
「先に行ってよ!! ……初めてなんだから、しょうがないでしょ?」
心臓が口から飛び出しました。
佐藤は肩を震わせて笑った。
僕は急いで水風呂から出る。
湯船から立ち上る湯気が周囲を包み込み、肌に触れる暖かさが心地よい。
水音が静かな空間に響く中、陸はゆっくりと湯船に浸かった。
「あつッ…!」
「確認もせずに水風呂に飛び込むからダメなんだよ…。
いやーでも意外だったなぁー。
陸が水風呂に飛び込むくらい水風呂好きだったなんて。いや、プールが好きなのかな?」
「違うよ!!」
もうやめて…ほしいです。
すでに顔がまっかなんだから!!
ではなく、ちゃんと説明しなければ。
魔法の事。
でも、いじめがなければ、友達になれていたのかもしれない。
いろいろな意味て、複雑だ。
このままじゃだめだ。
僕は湯船の暖かさに身を委ねながら、自分の胸の内を整理しようとしていた。
佐藤にどう話すべきか、頭の中で言葉を選びながら深呼吸をする。
「佐藤、これから話すことは、普通じゃないけど、ちゃんと聞いてくれるかな。」
作「最近みんなの心の声が聞こえてきてるのは、ナレーターのおかげ?」
ナ「そう。感謝してほしいね。」
あんまり調子に乗らない方が……。
作「なんだと?」
おっと、作者…ご立腹だね。
ナ「事実だからな。あれぇ~? おこちゃまには早かったかな? おこちゃまはおねんねしまちょうね~。」(ニヤニヤ)
作「――――!!!」
ナレーターさん、そこまでにしなよ…。