38 触らぬ神に祟りなし
…でも、びっくりした。
そんな理由があったなんて……。
質問に答えてないような気もするが…気のせい?
まあいいや。
うそを言っているようには見えなかった。
だから、許すことにした。
うそだったとしたら、関わらなければいいだけ。
触らぬ神に祟りなし!
「わかった。信じるよ。」
そう言うと、佐藤がびっくりしていた。
「警戒心ダイジョウブ?」
心外だ。
僕は溜息をつく。
「まあ、治安が治安だからね。」
何も間違ったことは言っていない。
僕は佐藤に「戻るよ。」と言って歩き出す。
佐藤は僕の後ろにある、木の方に振り返る。
僕には聞こえないように言った。
「もういいでしょ。ひやひやしたよ。いつぶりだろうね。君に睨まれたのは。」
僕には聞こえなかった。
木の方には誰かいる。さっき佐藤が「ひょえぇ…」と言ったのは木に隠れている誰かににらまれ、半端ない殺気を感じ取ったからだった。
「おかえりー。」
部屋に戻ると、光莉が出迎えてくれた。
(よかった。仲良くなれたみたいで。)
光莉はニコニコしていた。でも、僕は心をよむことはできないから、聞こえないけどね。
(あれ? 気配がある。さっきは気のせいだったのかな?)
佐藤は光莉に対して疑問を抱いていた。
(あ……なんが警戒されてるみたい。)
(警戒してることバレてそうだなぁ……。)
光莉も佐藤も、いがいと鋭かった。
((あんまり…かかわらない方がよさそう。))
夕方・・・
「つっかれたー……。」
「お疲れー陸。」
あの後、いろいろあった。そこまでたいしたことはなかった。
佐藤の部屋につくのは一日だけ、だから、今ドアがない部屋に向かっている。
正式名称はないから、陸が閉じ込められた部屋、と言えばわかるか?
部屋につき、中に入る。
そこで、兄さんと優斗さんがカードゲームをして遊んでいた。
「兄さん?」
「あ、陸! 聞いてくれよ~。」
兄さんはまだ仕事に慣れていないので、よくここにいる。
「優斗は表情筋が死んでるから、ずっと負けてばっかり~。」
(心外だな…。えーっと……ソラ? はもう少しポーカーフェイスができるようになった方がいいと思う。)
表情筋が死んでいるとは、優斗さんにとっては心外の極みだろうなぁ~。
優斗は相変わらず、人の名前を覚えるのが苦手なんだなぁ…。
俺もあんまり知らないけど!
え? お前は誰かって?
あーそっか。陸は「俺」って言わないもんね。
いやーしくじったなぁ。
ぅーん……カ……「ナレーターさん」って呼んで。
木の陰にいて睨んできた奴の事が知りたい?
ここでは言えないけどね…後で分かるさ! …ヒントは“赤い髪”だ。
作「……ぇ? ちょっとキキどういう事? メモにはない知らない人が出てきてるんですけど!?」
作「キキ? 私のセリフの前に名前が書いてあるってことは……。」
ナレーターさん(略してナ)「はーい! 俺が居まーす。」
作「もう一人いますよねやっぱね。」
あったりぃー
ナ「いやーなんか目が覚めたらここに…」
作「なにそれ!? っていうか私を突っ込み役にしないでくれる!?」
さくちゃんまんはみんなの疑問を代わりに聞いてあげる役だから。
ナ「さくちゃんまん! 俺もそう呼ぼうかなー。」
作「……(笑顔の圧)。」
……。ところでナレーターさん。名前、「カ」って言いかけてましたけど?
ナ「すいません。」