34 突然の恋バナとあの人からの電話
再び沈黙。気まずい。
そして、光莉はこの気まずさに耐えきれなかった。
「そういえば二人は、好きな人いるの?」
「はぁ!?」
「なんでいきなり。」
「いや気まずかったから。」
恋バナなんてしたことない。
そんなのしたがるの女子くらいだろ。
光莉の恋バナをさっさと終わらせようとした佐藤は正直に答えた。
「…まあ……いないけど…。」
いない、という言葉は恋バナでは片思い中の女子が照れ隠しに言う言葉。
だが相手は光莉と陸。恋バナなんてしたことも聞いたこともない。
「…そう…。(つまんないの。)」
陸は二人の会話を黙ってみていた。空気になっていたのだ。
「じゃあ陸は?」
飛び火が来た。
陸はもう少し面白い話をしてくれればよかったのに…と佐藤を恨む。
「…ぃ、いないけど…。」
急な飛び火で明らか好きな人がいる反応をしてしまった。
その言葉に佐藤が意外…とでも言うような反応をしていた。が、陸は気づかない。
「じゃあタイプは?」
「「………………。」」
恋バナはまだ、終わらない。
光莉、気まずいのは分かる。だが巻き込まないでくれ…!
そのあと、光莉と恋バナをしてすごく疲れた。
見学じゃなかったのか。
光莉は胸をなでおろす佐藤と陸を見て少し考える。
「………じゃあ、私はちょっと行かないといけないところあるから。」
「「え?」」
「じゃあね!」
光莉はそう言って部屋を出た。
部屋の中には気まずい沈黙が流れる。
((カムバック光莉ー!!))
ーーー
私は、陸と佐藤君にそう伝えて部屋を出た。
私は速足でおばさんのところに向かう。
「おばさん。」
私はあの部屋に行く。
あの部屋というのは、出口が壁に隠れていて陸が閉じ込められたと勘違いした部屋の事だ。
おばさんは私たちの命の恩人。
「あら光莉。どうしたの? アレはまだ完成しないわよ?」
「わかってる。あの空間は気まずすぎる。何とか話をしようとしても話が続かないし、ちょっと黙っただけで気まずくなる。何なのあの二人。知り合い?」
「お疲れ様ですね。あ、そうそう、またかかってきてたのよ。」
「また? あの人は救いようのないくらいしつこいわね。」
「何か理由があるみたいだけど……かれこれ半年は断ってるわよね。…光莉、出るの?」
私はこの部屋に置いてある電話に手をかける。
あの人の番号はもう覚えた。
「出るよ。説得しなきゃ、一生懲りずにかけて来るでしょ。あの人。」
そう言いながらあの人が電話に出るのを待つ。
『もしもし。』
「もしもし、私だけど。」
あの人はしばらく電話の相手がだれか考えた。
『あら朱音。あの話、考えてくれたぁ?』
朱音とは、あの人の私の呼び方だ。
電話の相手は私が光莉だと気づくと、吐きそうなくらいの猫なで声で話していてとても気持ち悪い。
「何度も言ったでしょう。もうあそこには戻らないと。」
第一戻り方が分からない。
『そう? なんなら――、してもいいのよぉ?』
「! …それはやめてください…! なら、私だけが戻りますから、葵には手を出さないでください。約束できますか?」
あの人の返事はない。
このまま待っていても時間の無駄なので「そうですか。」と言って電話を切る。
そのままおばさんにあいさつをして陸たちの元に戻った。ほんとは嫌だけど、もう気まずくないと信じて。
「そういえば、今気づいたけど前話からメモとほぼ同じだね。(説明文めちゃくちゃ追加されてる)」
ああ、この辺は半年くらい前にちょっと書き直したからね。でも、途中までしかできなかったから、途中で終わるけどね。(説明文ほぼゼロだったから)
「そういえば佐藤君にきょうだいがいないね。(名前考えるの大変だったんだよなぁ)」
ああ、最初は弟と妹がいたっけ。その子たちがいると辻褄が合わなくなったから存在と名前ごと消した♬
「酷くない?(頑張ったのに…)」