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2 見たことのないもの。
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お兄さんと話して少し心が楽になったので、別に外に出なくてもよかったのだが、お兄さんは仕事仲間(と、思われる人物)に呼ばれて、いってしまった。
となると、もうあそこにいても暇なだけなので、周りを見て回る事にした。
廊下に出ると、和服を着た人と、たくさんすれ違う。ここは旅館なのだ。
……? パーティー会場として使うか? 普通。
お兄さんは、側近が選んだと言っていた。じゃあつまり、その側近のセンスが絶望的ということだろうか?
いや、そんな奴が場所選びを任されるはずがない。お兄さんの言葉を解釈するなら、社交界の場としか思っていないのだろう。
利用…されているのだろうか…。
下を向いて歩いていると、すれ違った人とぶつかってしまった。反射的に謝ろうと顔を上げると、そこで見たものは――
人が、壁に入っていくところだった――。
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