280 何もかも似ている双子
私は葬式に出たことがないので、ちょっと想像の部分も多く、加え交通事故で亡くなった方の葬式なんて分からないことだらけなのでおかしなとこがあるかもしれません。
大目に見てください!
桜井弥一と桜井弥月という名の双子は、親に愛されていない子供だった。
――俺はきっと、双子が親に愛されていないことに付け込んだと思う。
……いや、一つ訂正しよう。
俺は、彼らが親に愛されていないことに付け込んだ。
弥月の葬式。着慣れない服は動きずらいなあと思いながら、もう見られない弥月の青い目を思い出していた。
彼女の両親は娘を失った可哀想な自分に酔っているようだ。白々しい演技に腹が立つ
弥月の遺族で彼女の死を心から悲しんでいたのは、兄の弥一と、彼らのいとこの桜井彌。
それとそのきょうだい達と彌の親。クラスメイト。後は、よく遊びに来る弥月と仲が良かったのか、彌の幼馴染の女子も泣いていた。
・・・
「隣のクラスの、木野、鏡、さんだね……?」
ひと気のない場所でイスに座り、ただボーっとしていると、急に少年の声に話しかけられ、思わずびくりと肩を揺らした。
振り返ると、そこに立っていたのは――
「あれ? ぼくのこと知らない? ほら、隣のクラスで弥月の兄の――」
「桜井弥一、さん……」
そう言うと、桜井弥一は泣きつかれた顔で作り笑いを浮かべた。
俺は彼を見て思わず固まってしまっていた。
なぜなら彼は――弥月にそっくりだったから。
緑か黄色かよく分からない微妙な髪色。長い前髪。
そして、目も――何もかもが、弥月とうり二つだった。
前までは前髪に隠れて目の色が分からなかったところまで、弥月とそっくりだ。
俺が呆然としていると、弥一は「えーっと、改めて」と言葉を発した。
弥一は俺に向かって、手を差し伸べた。
「妹と仲良くしてくれてありがとう。妹の葬式に来てくれてうれしいよ……。一応、初めましてだよね?」
そう言って頬をかく弥一の目は、絶望の色に染まっていた。
――見たことのない色だ。
綺麗だ。どこまでも似ている双子――魅力的だった。
(……誰だって、綺麗な物には惹かれる。だから……いいよな?)
思い出したのはあの日、兄上が言った言葉だ。悪いことじゃない。兄上はそう言った。だから――
――だから、彼のことを、弥月の代用品として扱っても――
今度こそミスなんてしない。死なせない。
その目に映るすべての感情を、見きるまでは――
俺はうっすらと作り笑いを浮かべて、眉を下げた。
そして差し伸べられた弥一の手を取り、椅子から立ち上がった。
ナ「……ねえキキ、いつかの後書きで、『当主の人生はナレーターさんの人生と似たようなもんでしょ(笑)』とか言ってたよねぇ?」
アハ、なんて?
作「せめて『何のこと』であれよ」
白「弥月ちゃんがどこまでも報われないし、弥一くんまで鏡の被害者になったよ……」
ナ「俺の人生のどこがこの虚空者と同じなんだよ!!」
いや同じじゃね? だって……あ、これ以上はネタバレだ(笑)
ナ「てめ――――ッ!」
作「まあまあ落ち着けよ、少年☆」
ナ「俺作者より十年以上年上ですけど?」
あは、次『てめえ』とか言ったら……ね?




