266 清華と瑞祥
桜子は、家で一人うずくまっていた。
いつも暖色系の明かりがついているリビングは暗く、明かりの一つも付いていない。
空、彩華、淳、海斗は陸を探しに出ていた。桜子は危ないから、という理由でお留守番を任されていたのだった。
私のせいなのかな、そんな疑問が、頭の中に渦巻いていた。
このリビングには、他に白銀もいた。白銀も陸を探すことはできるが、雨が降ると蝶は飛べなくなる。
その時、二階から一話の鳩が飛んできた。
アルバトロス。七不思議五番、瑞祥の友達だ。
瑞祥はこんな時にまでも、使いの鳩一匹しかよこさないのかと少しムカついた。
同じ七不思議仲間が傷心中なんだ。直接来て慰めてもいいだろうに。
でも仕方ない。基本的に七不思議は学校の外に出られない。
『桜何やっとるんや?』
不思議と、脳内にそんな声が響いてきた。
床に突っ伏すのをやめて、バッと起き上がる。
「え? なんで……」
ずび、と鼻水をすする。
『数を減らしたんや。彩華……っちゅうか七番様に頼まれて仕方なくカラスの数を減らして、一匹一匹の能力を高めた。それによって、桜にも話しかけられてる』
まあ、今回の件が終わったら数も戻すけどな、と瑞祥は言った。
仕方ない。七番に頼まれて断り切れなかった自分が悪いと、仕方なく数を減らした。
『それに、今日は俺だけやないんや!』
「……鳩越しでも五番のドヤ顔が見える気がします」
『失礼なやっちゃの~』
今度は、瑞祥がジト目でこちらを見てくるのが見える気がした。
『もう一人の訪問客は、彩華の双子の……兄? 弟? の清華や!!』
桜子は思わずジト目になった。
あたりを見回すも、清華という名の少年の姿は見えない。
「いませんね。というか、脳内に語り掛けてきてるんですから叫ばないでください。うるさいです」
『しゃーないやろ! おい清華! はよこいや!」
瑞祥が……というかアルバトロスが二回を見ると、そこから赤紫色の髪を緩ーく一つに束ね、ちょこんと出ている赤紫色の髪が小型犬の尻尾を連想させる少年が降りてきた。
言わずもがな、清華である。
桜子が清華に会ったのは随分と久しぶりであるが、その登場の仕方に、思わず呆れてしまう。
瑞祥が来てから、ずっとジト目になってる気がする。
「……階段から来てください」
「……はよこい、言った」
清華は基本無口で、カタコトでしか喋れないので何を言いたいのかたまに分からなくなることがある。
そんな少年は、『こいつが早く来いって言ったから階段からではなく飛び降りてきた』とでも言うようにアルバトロスを見た。
瑞祥が『しゃーないやろ!』と返事をし、清華は中途半端に「ふん?」と返すだけ。
この暗い空間に、にぎやかな二人が追加された。
清華が探した方が早く見つかるということは言ってはいけません。
ナ「なんで彩華ちゃんは普通に喋れるのに清華はカタコトなん?」
ああ、それは……。
作「私も少し気になる!」(難しい話過ぎて眠くなりそうだけど)
白「確かに!」(安心して。もし寝てたら吹き矢で吹いて壁にたたきつけて起こしてあげるから)
彩華は能力を言語能力など、知能に振っているのに対し、清華は能力のほとんどを戦闘力に振ってるってわけ。
ナ「……うん?」
簡単に言うと、スマホとかパソコンって、容量があるでしょ? その容量は、スクショとか、アプリとかに使うけど、ゲーム系のアプリに使うか、天気予報とかのアプリに使うかって感じじゃない?
作(ヤバイ寝そう……)
ダメだ! いい説明が思いつかない! 図があれば簡単に説明できるのに!
作「スピー、スピー」
白「ねえキキ、吹き矢ってある?」
あるよ? 何に使うの? どうぞ。
作者が壁にたたきつけられ、肩の関節が外れるのは、数秒後の話である。




