表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
263/293

263 そんな問題分かるわけ……


「ん……」


 僕は、頭が重いという感覚に包まれながら目を覚ました。

 起き上がると、ベッドにもたれかかった状態で海斗が眠っていた。


 立ち上がって、部屋を出る。


 頭痛い……。でも、少しはマシになったかな?

 一階を見ると、そこでは佐藤と桜さんが並んで何かをしていた。


「………………佐藤、何してるの?」


 声が小さくて聞こえなかったかなと言ってから思ったが、佐藤はちゃんと聞き取って振り返った。


「……ああ、陸。桜さんに勉強を教えてるんだよ。その方が生きやすいだろうし」


 佐藤は一瞬桜さんの方を見る。

 すでに死んでいる桜さんに『生きやすいように』と勉強を教えるのは、なんとも佐藤らしい。


 僕は階段を下りて二人に歩み寄った。


「桜さん、何の勉強してるの?」


「はい! 算数です!」

「うっ、頭痛いから、あんまり大きい声は出さないで」


 頭を押さえてそう言うと、桜さんは「ごめんなさい」とつぶやいた。

 すると、隣にいる佐藤が僕に言った。


「でも、覚えが早くて助かるよ。地頭はいいみたいだし、最初の方は間違いが多いこともあるけど、一度指摘すれば同じミスをすることはほとんどない」


「どうでしょう? 私はなんとなく、この辺の計算は教えてもらえば分かります。でも、継続的にやらなければ忘れてしまいそうです」


 桜さんは佐藤の言葉を継いでそう言った。

 確かに、僕はたまに使わない計算や単位を忘れたりするかな。


 分かりやすいのはデシリットル。どこで使うのあんなん。

 忘れてるって言ったばっかりなのに覚えているのは、前読み返した昔の日記に、その単位が書いてあったから。


 僕は意地悪で、少し難しい問題を出してみることにした。


「じゃあ桜さん、5(たす)(マイナス)(たす)(マイナス)(イコール)?」


「………………ふぇ?」


「あ、ごめん。紙に書くね」


 ちょっと早口だったかな? と思い、佐藤から鉛筆を受け取って紙に書く。

 すると桜さんは少し考えた後、紙に少し曲がった字で『4』と書いた。


「正解!」

「じゃあ次は俺から」


 佐藤がそう言ったので、佐藤は紙に『たろうくんは5こおかしをもっていました。3こたべて、2こもらいました。 いま、たろうくんはなんこもっている?』と書いた。


「4!」


「じゃあ、次は俺もいい?」


 後ろから、少し苛立った声が聞こえた。

 振り返ると、そこには海斗が立っている。


「問題。桜さんは林檎を三個持っていました。 陸さんが二個あげて、桜さんは一個食べました。 今、桜さんは何個持っている?」


「えーっと? ……三個、二個、一個……」


 桜さんは指を折って考える。


「4……?」


 不安そうにそう言った桜さんに、海斗はつまらなそうに「正解」と言った。

 思わず浮かぶ笑いが声に出て、リビングを暖かい空気が包んだ時、高く、冷たい声がその空気を切り裂いた。


「問題、ある数に三をかけて五を足して二で割ったら七になりました。その()()()は? ……なの」


 ……なんて?


 早口で言われて、僕は一瞬固まる。

 その声は階段の方から発せられたもので、階段の方を見るとそこには、彩華さんが立っていた。


「……三を……かける? 割る?」


 桜さんがそうつぶやく。答えは三だけど、そんなの絶対分からないって!

 桜さんは指を折って真面目に考えているが、数秒して頭から煙が出ている幻覚が見え始めた。


 そういえば、今日お昼ご飯に鍋で煮て作るタイプのうどんを作りました。

ナ「どんなタイプ? 普通のうどんも鍋で煮るよ?」

 …………

ナ「キキ? 笑顔でフリーズしないで?」

 まあそれはいいとして(笑)

ナ「おい!」

白「まあまあ喧嘩はじめないで」

作「ちゃんと聞くよ? ね?」

 まあ作る過程は飛ばします。

ナ「なんなん?」

 それで、うどんをドンブリによそうためにお玉とトングを手に取りました。それで思ったんですけど、(お玉とトングって……どっちが盾でどっちが剣だろう)と。

作「……ごめん。もうキキの見方はできないわ。スゥ―――(息吸い)……何考えてんの!!?」

白「どっちも剣じゃない?」

 そうなんですよ。それで家族に聞いたら、どっちも剣、もしくはお玉が盾、という結果になりました。みんなはどう思う? コメントしてね!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ