262 陸さん、ショウって誰ですか?
「………………」
俺、瀬戸こと鬼屋敷海斗は悩んでいた。
今日はいとこの陸の看病でこの家にお邪魔しているのだが、今、隣に座る気配を完全に消しきっている者におびえながら看病をしていた。
その者は、彩華と名乗った。
ベランダから部屋に入ってきたかと思えば、まったく気配を感じなかったのだ。
いくら妖の中のトップである鬼族の当主であったとしても、ここまで気配を消しきることはできない。
何者だ……?
一階では、今は淳が桜子と一緒にうどんを作っており、時折聞こえる淳の悲鳴に、いつ陸が起きるかとひやひやさせられている。
「……あの、彩華……さん」
「なんなの?」
「あの、本当にあなたは何なんですか? 気配が……その」
どうして気配がないんですか、その一言を発するのが、海斗は怖くてたまらなかった。
もしかしたら聞いてはいけないことを聞いたと殺されるかもしれない。いや、そんなことあるわけないのだが。
「気配がない、ということについて聞きたいの?」
彩華の赤い目に横目で睨まれ、その圧に海斗は一歩後ずさりたい気分になった。
マズいかもーーーーー!!!! と、海斗は心の中で叫んだ。
「いや……」
「少し気配を消しただけで分からなくなるなんて、現代の鬼族も落ちたものなの」
「すみません……」
圧が、圧がすごい!!
「別に、彩は熱が出たと聞いた陸を心配して来てあげただけなの」
「あっ、アリガトゴザイマス……」
圧が怖くてまともな受け答えができない!
深刻に悩む海斗の横に座る彩華は、自分が彼に圧をかけているということに気づいていない。
※彩華は普通に会話してるつもり。
・・・
とその時、部屋のドアが開いた。
「あの、うどん出来ました」
「おう」
ドアを開けたのは淳。片手にはうどんのどんぶり。
「……なんで彩華さんが?」
「あっ、知り合い? ……え、知り合いなの? 超圧怖いんだけど」
海斗は小声で淳に言った。
だが、彩華にはちゃんと聞こえていた。反応はしなかったが。
海斗は淳からうどんを受け取り、淳が陸をトントンと軽くたたいた。
「……ん?」
「陸、起きられる? これ、うどんつくったんだけど食べられる?」
「無理しなくてもいいの」
彩華が淳の言葉を継ぐ。
陸は「うー……」と声にならない声をあげた後、誰にも聞き取れなかった小さい声で何かを言った。
いや、聞こえてはいたが、かすれた声だったから聞き取れなかっただけだが。
「ん? なんて?」
淳が陸に聞き返す。
「…………しょう、頭痛くて食べれない」
陸はそう言った後、またスー、と寝息を立て始めた。
食べれないということは分かった。それはいいのだ……が。
(((ショウって誰???))なの?)
三人の心の声が重なった。
ここにいる三人の名前は、佐藤淳、もしくは鬼嶺滝淳、瀬戸もしくは鬼屋敷海斗、彩華の三人だ。
(マジで誰?)
疑問は残り続ける。
作、白「しょう?」
人名かなぁ?(笑)
作「クソォこの創造主め! お前はこの物語の設定全部頭に入ってっからなんも知らないあたしらが悩んでるの見て笑ってるのかよ!!」
白「確かにそれは思う」
だってぇ(笑)ねえナレーターさん。
ナ「俺に話振られても困るんだけど? しょう、しょうかぁ……人名とすれば思い当たるのは……あ、ほら、あの七不思議五番くんの本名って何だった~?」
作「あ!」
白「もしや……?」
……(ニコニコ)
ナ(ニコニコ)「みんなも、五番の名前知ってるでしょ? まあ忘れたかもしれんけど(笑)」




