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182 かかと落とし


「江見さん!」

「江見さん……!」


 皆が口々に名を呼ぶ。

 その中で江見さんは、静かに微笑んでいた。


「……ん?」


 その時、僕は気づいた。


 消えかけてるのは江見さんだけで、『白銀ノ聖桃蝶』と呼ばれた蝶は苦しんでる様子もなく、彼女を見ていた。


「なんだ? なんで蝶だけ……。」


 その時、小さく音がした。


――タタタッ


 という、足音。


 その足音は徐々に大きくなり、ここに近づいてきた。


――ダダダダダッ


「な、誰の足音!?」


 さすがにみんなも気づいたようで、あたりを見回している。

 その時、僕らに影がかかった。


 人型の影だった。


 上を見上げると、そこには――


「六番の――」


 中学生くらいの、巫女装束のようなものを着た女の子がいた。

 女の子はそのまま重力に従い落ちてくる。その下にいるのは――江見さん。


「ドアホーーッ!!!」

「グフゥッ!」


 江見さんがいきなり現れた謎の女子にかかと落としされた!


「え、江見さん!?」


 僕は驚いて江見さんに声をかけるが、江見さんはかかと落としされた衝撃でぴくぴく動いていた。


「江見さーん!!」

「な、何するんですかあなた! いきなり現れて!」


 筮さんと紗代さんが声をあげる。

 それに対して彼女は何も反応しなかった。


 いきなり現れて、江見さんにかかと落としした女子は、人間というより、精霊に近い雰囲気をまとっていた。


 赤紫色の長い髪をお団子にしており、茶に近い赤の目が闇夜に光る。

 ――人間? いや……。


 怪異?


「六番。」


 女の子は、江見さんに歩み寄り、地面に倒れる江見さんを見下ろす。


「六番のドアホ。五番からの伝言なの。」


 五番……って、七不思議!?


 ギョッとする僕たちを置いといて、女の子は江見さんに話を続ける。


「五番に感謝するの。」


 僕はその言葉を聞いて、それはおかしいだろ、と思った。

 その言葉を代弁するように、筮さんが口を開いた。


「ちょっと待って。それはおかしくない? 五番のせいで江見ちゃんはかかと落としを食らったのよね?」


 女の子は筮さんをチラッと見て、それは、と言った。


「五番がここで倒れてる六番を見つけてくれたおかげで(いろ)はここに来たの。そこに飛ぶカラスが証拠なの。」


 上を見ると、カラスは僕たちの上をクルクルと回るように飛んでいた。


「申し遅れたの。」


 彼女の、なめらかで高い、綺麗な声が僕たちの思考を遮る。

 目を伏せ、軽く礼を取り、名乗りを上げる。


「彩の名前は、彩華(いろは)。七不思議・七番に使わされた使いなの。」


ナ「じゃあ俺今日からこの子の事『(はな)ちゃん』って呼ぶわ。」

 筮さんと同じ呼び方しないで。ていうかそこ!?

作「そこじゃないでしょ、普通……。私は、蝶が一切苦しんでなかったのが気になるけどね。」

 いやそこ!? 作者もナレーターさんと同じような物でしょ。

白「私は、七不思議七番の力の計り知れなさに驚いてる。」

 白銀~! ありがとう。今は君が唯一私の欲しかった疑問をくれてる。……そうか。白銀は七番に会ったことあるのか。

白「そう。でも今までの七不思議の使いは、五番はカラス。六番は蝶。七番は人間?」

 に、人間? ……今までこの物語の重要人物に人間が出てきたことはないでしょ?

ナ「待って怖いんだけど!? 疑心暗鬼になるわ!」

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イイネ等、よろしくお願いします。 え? なぜかって? しょうがないなぁ、そんなに言うなら、教えてあげないこともないですよ。 モチベにつながります。
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