178 縄張りという名の檻
集合場所まで移動し、二番に挑んだチームを待っていた。
ちなみに筮さんはずっと無言だ。
そんなに大切なものをもらってしまったのが申し訳ないらしい。
「シューゴー場所? は学校の外なのですね。」
江見さんが正門の前でそんなことをつぶやいていた。
「はい。そうですね。どうしてですか?」
僕がそう返すと、江見さんは無言で学校の外にある道路やバス停を眺めていた。
そして目を伏せ、小さく言った。
「私は学校の外に出れないのです。」
江見さんはそう言って手を伸ばした。
伸ばされた細く白い腕が正門を出る。するとそこから、黒っぽい煙が出た。
「学校は、七不思議という怪異の縄張りです。」
そう言って江見さんは、腕を正門の中に戻した。
「縄張りという事は、外の怪異が中に入ることはできません。そして逆に、七不思議も、学校の外に出ることはできません。それは、学校といういろいろな感情がはびこる場所です。私たちは、その『感情』を自分たちの力にしている。」
昔は、七不思議も自由に外に出れていたみたいですけど、と続け、小さく笑う。
「学校の外に出ると、その力は大幅に減少されるますが、学校という組織の感情が力になる……何でしょう、つながり? は絶たれていないのです。つまり、外で自力で強くなった怪異に吸収されてしっては、その力は奪われる。七不思議の席は空き……という事は、とんでもない脅威が――あ、興味ないみたいですね。ならいいです学校から出られないって事だけ覚えといてください。」
僕と筮さんは真面目に聞いていたが、他のみんなは難しすぎて興味を無くしたらしい。
思わず苦笑する。
でも、少し気になる事があって、江見さんに向き直る。
「江見さん、七不思議は強いんだよね? 僕たちはそれを身を持って体験してるけど……。ならどうして、学校の生徒を襲わないの? 人間も食べれば自分の力にできるんじゃないかな? それとも人間は論外なの?」
「できますよ。論外じゃありませんし。」
「え゙、即答……。」
江見さんの即答に驚きつつ、その説明を待つ。
「先ほども言った通り、七不思議は学校にある『感情』を力に変えます。学校がなくなれば感情が手に入らなくなる。食べることもできますが、生き物を吸収するのと怪異を吸収するのは違います。それゆえに、学校は守る対象でもあるらしいです。そこんところは私もあまり詳しくは……。この辺の知識はすべて七番様に教えてもらった知識なので。」
江見さんが言うには、七不思議は半永久的の力があるが、外の怪異は人間と同じように『衰え』のようなものがあるらしい。
ちなみに、都市伝説も同じくその都市にある『感情』を力に変えるそうだ。
「へー。難しいのね。自力で頑張らなければ、その辺の知識を手に入れる事すら難しいのよね。」
「はい。私は七番様から教わりましたが、普通は、何の知識を得ることもできず、本能のままに力の奪い合いを行います。怪異になってから少し、力が手に入るとともに『知能』が手に入ります。強い怪異ほど頭がいいことが多いです。人間と会話がかみ合うか走りませんけど。』
難しいな……。やっぱり、それを理解できる江見さんは頭がいいみたいだ。
そういえば、滅銀浪もしゃべってはいたが、会話かどうかまでは……。
まあ、この事はまた機会があれば整理しよう。
ナ「頭こんがらがった……。」
白「ねえ私の自己紹介――」
そうだね! 今回は私も頭がこんがらがったよ!
作「何? 何をどうしたらこんな設定思いつくの?」
白「ねえ私の――」
うーん、やっぱり漫画かな!
白「ねえわ――」
色んな漫画や作品を読むことが、豊かでシリアスな世界をうむことにつながるんだよ!
白「ついにしゃべらせてすらもらえなくなッ――」
必殺! 尺ありません攻撃!
白「おい!」
ナ「まあまあ落ち着いて。これは事情を説明してくれないキキが悪い。」
白「その肩の手をどけてくださいナレーターさん。その顔に腹が立つ。今すぐぶん殴りたい感情にかられる。」